
TOEIC Speaking & Writingの早期導入と浸透
韓国人の英会話力が爆上がりした理由は、日本で「TOEIC」を指すTOEIC Listening & Reading(L&R)だけでなく、TOEIC Speaking & Writing(S&W)が浸透しているからだ。
日本と同様、韓国も学歴が重視される社会だ。その競争の熾烈さは日本の比でない。就職や大学受験で重要視される英語関連テストでは、高スコアを獲得するために努力を惜しまない。そして、英語競争は就職後も続く。中堅社員であっても英語力を上げ続けなければ出世に響く。
日本と並ぶTOEIC大国の韓国だが、TOEIC L&Rでは実践的なアウトプット力が身に付かないことにも早くから気づいていた。そこで、TOEIC S&Wを普及させたのだ。
公表数字でも、韓国と日本の差は明らか。TOEIC S&Wが韓国に導入されたのが2007年で、即座に採用した企業は150社以上、12年には1300社以上の企業に広がっている。それに比べて日本は、15年時点で採用企業がようやく250社、学校が130校となっている。
韓国でのTOEIC S&W受験者数は約30万人(15年)に対して、日本での受験者数は2万6300人と一桁違う。韓国の人口が日本の約半分であることを考えると、普及度のギャップは歴然としている。
日本におけるTOEIC S&W受験者数は、TOEIC L&R受験者数の50分の1に過ぎない(22年)。韓国がアウトプットスキルも重視することに舵を切ったのと対照的に、日本ではTOEIC L&Rに極端に偏っていて、インプット中心の歪んだ英語テスト志向が、今日まで続いているのである。