金相場は2024年10月に史上最高値を更新し、米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利した後も歴史的な高値圏で推移する。一方、原油相場は年初から4月まで上昇した後に下落基調に転じた。特集『総予測2025』の本稿では、25年の金と原油相場の見通しと価格変動要因を分析する。(マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 新村直弘)
24年4月以降は景況感悪化で下落基調の原油相場
25年後半に上昇予想もトランプ政策の影響が不透明
2024年の原油価格は、ガザ紛争の影響や米国の個人消費堅調などを理由に、年初から4月ごろまで上昇した。しかし、4月以降は下落基調に転じた。地政学リスクの高まりによる価格押し上げ局面もあったものの、総じて景況感の悪化が価格を押し下げてきた。
米ISM製造業景況感指数は原油価格に対する説明力が高く、原油価格はおおむね同指数の低下に追随する形で水準を切り下げている(下図参照)。
25年は景気が1~3月ごろに循環的に底入れして需要増加が見込まれることから、原油価格は年後半にかけて上昇が予想される。
だが、景気回復局面ではOPEC(石油輸出国機構)プラスの減産解除(増産)が見込まれるため価格上昇は緩やかで、ブレント原油は平均で1バレル当たり75ドル程度となると予想する。ただし、OPECプラスが外貨獲得のために減産を守れず、逆に増産に踏み切って価格が急落するリスクは残る。
加えて米トランプ新政権の経済政策の影響は不透明で、原油価格は上下両方のリスクを抱える。
次ページでは、25年の原油相場のリスク要因と、金相場の見通しを解説する。