「こんな結果を出しているのに、なかなか上司が評価してくれなくて……」
「お話をうかがっていると、上司の方から嫌われているように感じます」
「実はそうなんです……」
さらに「なんでそんな意地悪をするんでしょうね」と話を聞きます。結果として、「どうしようもない上司ですね。ちょっと早めに転職を考えたほうがよいかもしれませんね」とアドバイスするケースもあれば、それが本当かどうかは別として、本人の思い当たる節が飲み会でのちょっとしたやり取りだったりすると、相談者の話に違和感をおぼえ、さらに原因を掘り下げていくケースもあります。
人間関係が悪い職場で
転職する前にやるべきこと
いずれにせよ、プロのキャリアコンサルタントは本音を話してもらえていないときは直観が働き、相手の話に納得しません。納得できないとスイッチが入らないので、その人の転職のお手伝いになかなか本気になれません。
その意味で人材紹介会社に相談するときは、本当のことをいったほうがよいと思います。もちろん信頼できるキャリアコンサルタントを選ぶことが大前提ですが、本音ベースで話を伝えて紹介を受けないと、また同じような状況に直面することもあり得ます。
我々も相談の内容によっては「そういう事情なら転職を考える前にやったほうがよいことがあると思います」といったアドバイスをすることがあります。上司との相性が悪くて業務に支障をきたしているのなら、上司本人にフィードバックしたり、それでもらちがあかないのなら上司の上司に相談したりと、わざわざ転職しなくても打てる手はあるからです。
ある大手企業に勤務する、課長代理の方に転職相談を受けたときの事例を紹介しましょう。
「上司である課長とまったくそりが合いません。むちゃくちゃなことを押し付けてくるし、この課長がいる限り、この会社でやっていくのはもう無理です」
どんなことをいわれているのか詳しく話を聞くと、確かにむちゃくちゃでした。ちょうどこの会社は変革期で人の入れ替わりがあり、能力がポジションに追いついてない人が上司になったために起こった悲劇だと思いました。