そこでお伝えしたのはすぐに転職するより、業務の品質に関わる内容でもあるのでまず上司の上司に相談すること。その際には上司に対する文句や不平不満をぶちまけるのではなく、事実ベースでどんな事象が発生して困っているのかについて、自身にも非がある可能性があることを踏まえて話をするようにアドバイスしました。
自分に非がある可能性について触れるのは関係が悪くなっているとはいえ、上司に対する敬意や組織に対する謙虚さを失っていないことを示すためです。
「先日、課長からこんな指示を受けました。しかし、こうした問題があるのでそれをやったらまずいと考え、そうお伝えしたのですが、納得のいく説明がないまま『とにかくやりなさい』と強く指示されています。もちろん私が知らない情報があったり、私の思考に偏りがあったりするのかもしれないので、○○さんにどうすべきか教えていただきたいと思い、ご相談にうかがいました」
こんな風に相談したところ、上司の上司は以前から課長の問題を薄々感じていたらしく、その後、課長は異動になりました。しかも、この相談者は不在となった課長を兼任することになり、現在は部長代理に昇進し、「あのとき転職せず、アドバイス通りにしたおかげで道が開けました」と感謝の言葉をいただきました。
人間関係を改善する努力は
転職活動での好評価にもつながる
上司を飛ばしてその上の上司に相談することには、リスクもあります。上司のほうに理があると判断されたり、上司から仕返しされたりする可能性もあるでしょう。上司より上の方がもっとダメ、という会社もあります。
しかし、一人前のビジネスパーソンであれば「人間関係が悪い」といって嘆くだけでは失格で、自分から状況を改善するために動く必要があります。受け身にならず、自分が快適に仕事をできるよう周囲に働きかけるのです。しかし、自分の力では何も状況を動かせない場合もあるでしょう。
その結果として「この会社、どうにもならない」と判断し、転職活動を行うのは大いに「あり」だと思います。