保険大激変 損保の構造的課題が生保にも飛び火!#20Photo by Yoshihisa Wada

2025年4月1日に日本生命保険の社長に就任する朝日智司副社長。副社長からの昇格は通例と異なるのに加え、現社長の清水博氏と2歳差であるというサプライズ人事となった。その朝日新社長は、生保業界のガリバーである日本生命をどのようにかじ取りしていくつもりなのか。特集『保険大激変』の#20では、朝日次期社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

営業職員と支社の役割が大きく変わる
地域社会の課題解決の拠点へ

――社長就任に当たって、今後の方向性についてどのように考えていますか。

 中期経営計画の2年目になりますが、順調に推移しています。私が社長に就任したといっても、大きく方向性が変わることはありません。生命保険を中心としたグループビジョン「安心の多面体」やサステナビリティー経営の高度化に向けて、より速度を上げて高いレベルで実現させたいと考えています。

 その中でいえば、生命保険を強固なものにしていくこと、基幹チャネルである営業職員チャネルを強くしていくことに尽きます。新型コロナウイルス禍で最も影響を受けたチャネルですが、デジタル化の促進でお客さまとつながる基盤の構築が進みました。明るい兆しが見えています。

 また、地域社会の課題解決を標榜していますが、その中心的な役割を営業職員チャネルが担いますので、このチャネルの価値が増大していくことになります。

――安心の多面体については理想の形になっているのでしょうか。

 多面体の一つ一つの面を大きくしていきます。例えばヘルスケア部門では、メンタルヘルスケアのチェックなど提供できるものが増えてきましたし、ニチイホールディングスの買収によって、地方のさまざまなステークホルダーの皆さまから対話をしたいと言っていただいており、期待が高まっていると感じています。

 地域社会の課題解決に資するアイテムがそろってきました。それを具体化していくのは、全国にある支社であり、社会課題を解決する拠点となります。

 そして、デジタル顧客基盤の構築や業務の変革を行ってきましたが、かなりアドバンテージが取れたのではないかと感じています。今後、AI(人工知能)を現場に実装していくことでDX(デジタルトランスフォーメーション)やCX(カスタマーエクスペリエンス)の向上について、貪欲に取り組んでいきたいと考えています。

――他社も含めてデジタルに力を入れていますが、かなり進展したという認識でしょうか。

契約の査定から保険金の支払いまで、いわば生命保険の入り口から出口まで全てを経験している朝日新社長は、主力の営業職員チャネルについてどのように強化しようと考えているのか。また、そのために支社の在り方や組織をどのように変えていこうとしているのか。次ページでは、その要諦を明かしてもらった。