例えば、相手が「ここの店舗の売り上げは、3年連続で伸びているので、近隣にもう一店舗出そうと思う」と言ったとします。これに対してあなたが「それはちょっと難しそうだ」と思っていたのだとしても、そのまま伝えるのは避けた方が無難です。
この場合、私であれば、「たしかに、○○さんのおっしゃる通り、3年連続で売り上げを伸ばしていますね。素晴らしい業績だと思います。もう一店舗出してみようとお考えなのも、わかります。ちなみに、新店舗は、既存店と同じ商品ラインナップを想定していらっしゃいますか?」などのように返すと思います。
この返し方の前半は、完全に相手に同意しています。そして、最後の部分で質問という形で、違った観点を加えています。この場合は、私は「同じ商品ラインナップだと、既存店と顧客の奪い合いが起こってしまうのではないか」という懸念を抱いていて、それについて否定表現を使わずに確認しています。
その他にも、既存店と近すぎると問題が起こりそうだという点が気になるようなら「近隣とおっしゃいましたが、どれくらいの近さが良いか、具体的なイメージはありますか?」と聞いてみたり、そもそも2店舗を維持するだけの顧客数がその商圏にはないと思っている場合には「2店舗目の客数は、1店舗目に比べてどれくらいを見込むイメージでしょう?」と聞いてみたりすることになります。
断定しない、決めつけない
「同じ船に乗っている」
最後のポイントは、あくまでも可能性を模索する姿勢を崩さないことです。
つまり、相手と自分は「同じ船に乗っている」のだと、積極的に示していくわけです。
その際に、ポイントになるのが「断定口調にならない」「決めつけない」ことです。
相手の意見が合っていようと、間違っていようと、それを断定的に決めつけて話すと、相手は「攻撃されている」と感じて身構えてしまいます。
そうならないように、「こういう可能性はありませんか?」とか「こういうポイントは検討しなくてよいでしょうか?」というふうに、検討すべき論点を追加していくのも良策です。