あるいは、「この領域に詳しいA課長の意見も聞いてみるのはどうでしょう?」などのように、他の人の意見を聞くようにガイドしてみるのも有効だと思います。
これらの提案を「この論点も検討すべきです」とか「A課長にも話を聞く必要があります」などの断定的な表現にすると、相手は頑なになって拒否してくるリスクがあります。
こちらからの提案であっても、相手が「自分で決めた」と認識できるようにする方が、後の話がスムーズです。もし可能ならば、「自分で思いついた」と思ってもらうことを目指したいくらいです。
人は、「自分で考えたこと」「自分で決めたこと」には、責任をもって取り組もうとします。相手が、そう思うように仕向けられるなら、それに越したことはありません。
相手の立場を尊重し
前向きに取り組める環境をつくる
なお、意思決定のための時間がなく、効率よく物事を判断していかなければならない時には、こうした配慮をすることは難しいと思います。例えば、災害時などにおいては、和を尊ぶことよりも、生命を守ることの方が優先されます。救急医療の現場なども同じですね。
しかしながら、一般的なビジネスの場においては、一分一秒を争うような状況は、ほぼありません。生命の危険と隣り合わせの判断を下す機会も、基本的には存在しません。そういう前提に立つと、お互いの立場を尊重しながら、継続的に物事を前向きに推し進めていくことの重要性が増してきます。
関係者が、一定以上の納得感を持って、前向きに取り組めるように調整するのが、優秀な上司、マネジャーのあるべき姿です。たかが言い方の話、些細な話、取るに足らない話だなと感じるかもしれませんが、そういうたいしたことのない話だからこそ、気を付けておくことが重要だといえるでしょう。