乗り心地は非常に良く、エンジンがかかるタイミングも絶妙
乗り心地は非常に良い。アウトランダーはもともと非常に優れたクルマで、前モデルに試乗した際も絶賛した記憶があるのだが、より洗練され、研ぎ澄まされた印象だ。
食事と給油を済ませ、PAを出る。本線との合流。アクセルを踏み込むと、フロントとリアに2基配置されたモーターが滑らかにトルクを捻り出す。「0-100km/h加速2秒短縮」が今回のマイナーチェンジのウリとされているが、ガツンとした加速感はなく、むしろ穏やかなジワッとした加速に感じられる。またエンジンがかかるタイミングが実に絶妙で、「気にしなければ気が付かない」レベルである。これは素晴らしい。
流れに乗って飛ばす。車体はピタリと安定している。もともと国産SUV最高レベルだった直進安定性は、さらに洗練されている。
レーンチェンジ時の応答もいい。気持ちよくサッと頭が入るのに、マイナー前よりもロールが穏やかだ。バネレートを下げ、ダンパーの減衰力は上げる方向でセッティングされている。

スイッチを捻って、7つの走行モードを選べる
高速を降りて一般道のワインディングを走る。徐々に雪が増えてくる。ドライビングモードをSNOWに入れる。より賢くなった三菱自慢のS-AWC(Super All Wheel Control)。安心、安定、安全である。だがしかし、SNOWモードは些かダル過ぎないか。全ての動作が良く言えば穏やかに、悪く言えば緩慢になってしまうのだ。
いろいろ試してみたのだが、雪道ではGRAVELモードの方が楽しく走ることができた。
GRAVELモードに切り替えると、リアのトルク配分がよりアクティブになり、コーナーでわずかにリアがほんの僅かにスライドする。とはいえそこは天下のS-AWC搭載車。イイ感じのところで適度な制御が入り、破綻することは無い。素人大満足の程よい“ドリフト感”だけが味わえるのだ。スノーモードが先生に叱られない優等生なら、グラベルモードはちょっと悪ぶったいたずら坊主、というところだろうか。

ちなみに走行モードは以下の7つが用意されている。
NORMAL(ノーマル)モード:一般的な舗装路向けの標準モード。
TARMAC(ターマック)モード:スポーツ走行向けのモード。
GRAVEL(グラベル)モード:未舗装路や砂利道向けのモード。
SNOW(スノー)モード:雪道や凍結路面向けのモード。
MUD(マッド)モード:ぬかるみや泥道向けのモード。
POWER(パワー)モード:よりダイナミックな加速を求めるときのモード。
ECO(エコ)モード:燃費を最大限に重視したモード。
高速道路ではしなやかでありながら芯のある走り。
雪道ではモード選択次第で遊び心のあるドライビングが楽しめる。
アウトランダーPHEV、いいクルマである。