ビタミンB群の中でも、特に疲労回復に欠かせないのが「ビタミンB1」です。ビタミンB1は、ご飯やパンなどに多く含まれる糖質が、体内でエネルギーに変わる時に必須の成分です。ビタミンB1が不足すると、糖質の代謝がスムーズに行われず、エネルギーが作られにくくなるので、疲労につながります。

疲れた時に甘いものを取ると
回復する?

 元々日本人は、エネルギーの多くをご飯の糖質から取っているため、体内でビタミンB1の消費量が多く、意識してビタミンB1を取らないと不足してしまいます。

 また、疲れるとチョコレートやあめなどの甘いものを食べる方を見かけますが、疲れているときに糖質を摂取することで、ビタミンB1が多く消費されてより疲れやすくなってしまいます。また、甘いものを取ることで血糖値が急上昇し、急下降するため血糖値の乱高下が起こり、これもまた疲れやすくなる原因となります。

 疲れているときは甘いものを食べるのではなく、通常の食事を3食しっかり取って栄養を補給した方が、早く回復します。特に気温が上がって暑くなる季節は冷たい清涼飲料水やアイスクリーム、喉越しの良いそうめんや冷麺などの麺類が食べたくなりますが、これらも糖質を多く含むためビタミンB1の消費につながってしまいます。頻度を減らすか、しっかりとビタミンB1を多く含む食品も一緒に摂取するようにしましょう。

 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、ビタミンB1摂取の1日の推奨量として、18歳~49歳の男性は1.4mg、50歳~74歳の男性は1.3mg。18歳~74歳女性は1.1mgとしています。

 ビタミンB1を多く含む食品(1食分当たり)は、次のとおりです。

 ビタミンB1は、水溶性のビタミンなので、調理によって損失しやすい栄養素です。茹でるなど水分を使う調理法はできるだけ避けましょう。

 また、タマネギやニンニク、ニラなどの臭気成分であるアリシンと組み合わせて取ると、吸収が高まり、血液中に長くとどまってくれます。豚肉のニンニクソテーや、豚肉とタマネギ、ニラなどの炒め物などはおすすめのメニューです。

 米ぬかや胚芽部分にも、ビタミンB1は含まれています。精製された白米ではなく、玄米や胚芽米を主食にすることで、エネルギーとなる糖質と代謝に役立つビタミンB1を同時に効率よく摂取できます。疲れやすくなったら、主食を玄米や胚芽米、胚芽パンや全粒粉パンに変えてみましょう。

 疲労は、発熱や痛みと同様に体に何かしら異常があるというサインです。無理を続けると自律神経失調症などを発症することもあるので、日々の食事を見直して、早めの対策で解消していきましょう。