会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。

「うちのリーダー、何とかしてほしい……」と思ったら
「うちの上司は現場のことをまったくわかってない」
「相談しても『自分で考えろ』で終わり」
「話を聞いてくれない、理解してくれない」
こんな不満を抱えている方は少なくないと思います。ぼく自身、サラリーマン時代には同じ思いをしたことがあります。相談したくても、上司の機嫌をうかがいながら、言い方を考え、丁寧に話をします。それでも取り合ってもらえないことがよくありました。
このようなケースは多く、実際にビジネスパーソンの離職理由に「上司」が挙げられることが数多くあります。実際、リーダーシップ開発企業DDI社が発表した「Frontline Leader Project」(2021年)では、「従業員の57%が上司が原因で仕事を辞めたことがある」と報告されています。
それだけ「上司」に問題を感じているわけですね。ただ、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。仮にリーダーに問題があるとしても、それを指摘しているだけでは、状況は改善しませんし、あなたのストレスも減りません。あなたができることを考えてみた方がいいと思うんです。
「リーダーがわかってくれない」という状況には、実はもう一つの側面があります。それは「自分がうまく伝えられていない」という可能性です。
以前、直属の上司に不満がある方にヒアリングをしました。「リーダーが理解してくれない」と感じているメンバーに、「具体的にどのように相談しているのか」を聞くと、非常に漠然とした相談をしていることがわかったのです。
リーダーが取り合ってくれない理由
なぜリーダーは現場の相談を取り合ってくれないのでしょうか? 理由はいくつかあります。
1. 相談の内容が曖昧すぎる
「この案件どうしたらいいですか?」「これからどう進めればいいでしょう?」など、非常に抽象的な相談をされても、リーダーは何を答えればいいのかわかりません。
2. 相談というより、愚痴に聞こえる
「クライアントがまた無理な要求をしてきまして……」「このスケジュールでは無理なんですよね」など、単に状況の大変さを訴えるだけでは、相談というより愚痴に聞こえてしまいます。
3. 解決策を考えずに持ち込んでいる
同様に、自分で何も考えずに問題をそのまま持ち込まれると、リーダーにとっては「自分で考えないメンバー」という印象を与えてしまいます。
4. リーダー自身の状況を考慮していない
忙しい時間帯や、他の重要な問題を抱えている時期に、相談を持ち込まれると、リーダーは十分に対応できません。話を聞かないのではなく、聞けないときもありますね。