日銀次の利上げ「7月」がメインシナリオ、金融政策正常化後の長期金利は「2%台後半」金融政策決定会合後、会見する日本銀行の植田和男総裁 Photo:SANKEI

トランプ政策の不確実性が増すが
中立金利に向けた利上げが続く

 日本銀行は3月18~19日に開いた金融政策決定会合では、予想通り政策金利の据え置きを決めた。

 会合後の記者会見で植田和男総裁は、今後も日銀の経済・物価見通しが実現していくならば、それに応じて政策金利を引き上げていくという基本方針を確認した。展望レポート(経済・物価情勢の展望)で経済・物価見通しが実現する確度を確認しながら、半年ごとをめどに利上げを続けていく基本シナリオが引き続き想定できる。

 一方、植田総裁は高関税の適用などトランプ政権が打ち出す通商政策の内容やその及ぼす影響など不確実性が高まっていることを指摘した。

 米国をはじめとする世界経済が混乱し、金融市場が不安定な状況になれば、追加利上げが難しくなる。一方で関税引き上げなどの影響で世界的にインフレ懸念が高まれば、見通しを上回る物価上昇に直面した日銀が利上げを前倒しする可能性も否定はできない。

 4月30日、5月1日に予定されている次回の金融政策決定会合やそこで出てくる展望レポートの中では、こうした不確実性もある程度消化した経済・物価見通しが提示されることになるだろうが、トランプ政策の不確実性を払拭することは難しい。別の言い方をするならば、そうした不確実性が解消するまで、金融政策の変更を待つほどの時間的余裕はないということだ。

 次の4月の展望レポートでは、今後、27年度にかけても潜在成長率を超える経済成長が続き、物価は目標である2%程度の上昇を続けるという見通しが示され、中立金利に向けての小幅な利上げを続けていくと考えられる。次の利上げは7月の可能性が高い。