人権侵害「実はうちも…」な日本人

 筆者は主にサプライチェーン関連の経営コンサルタントだ。サプライチェーンとは、取引先=サプライヤを束ねる仕事である。近年、強く感じるのが、多くの企業で人権侵害の疑いのある取引先との付き合いを異常なほど嫌うようになったことだ。

 古くは1997年に表面化した、スポーツ用品メーカーNIKEの事件がある。NIKEの下請けの東南アジアの工場で、児童労働や劣悪な環境での長時間労働が発覚。委託元のNIKEに批判が集まり、世界的な不買運動につながった。これを機に自社はもちろん、取引先の人権侵害も自社に大きな影響を及ぼすことが、アパレル産業を中心に広がった。

 欧州では大企業を中心に、自社のサプライチェーンに人権侵害がないか調査に熱心だ。米国ではサプライチェーンの上流に人権を侵害する取引先がいる場合、貿易を認めないなどビジネスそのものが成り立たない。

 一方で、日本の会社員と話すと「日本に人権問題などない」と考えているケースが大半だ。確かに、子どもを強制労働させたり、最低賃金以下で働かせたりするケースは少ない(存在しないわけではない)。

 ただ、人権侵害には、いわゆるブラック職場と呼ばれるような劣悪な労働環境や、性的な被害をはじめとするハラスメントも含む。今回、フジテレビの問題が明るみに出て「実はうちも…」と似たようなケースを思い浮かべた人も多いのではないだろうか。

中居正広と元アナ女性問題が残した教訓、フジテレビ再生への「厳し過ぎる」道のりPhoto:SANKEI