フジテレビを対岸の火事にしてはいけない

 冒頭の筆者の感想に戻ると、「決まったことは、きちんとやろう」に尽きる。企業は株主の持ち物だ。そして、株主が取締役を選ぶ。株式を上場する企業は、経営陣を監視するために多くの「社外」取締役も活用して、忖度しがちな社内取締役を牽制する仕組みがある。

 この基本中の基本が抜けていたのが、フジテレビとその親会社だ。報告書では〈執行側や社内取締役が、本事案のような経営上の大問題について、社外取締役及び取締役会に全く情報を提供しないまま2025年1月17日の記者会見に至ったことは異常〉と書かれている。

 重要事項を決める経営(取締役として株主から選ばれる)と、執行(執行役員以下の社員ら)は分離されなければならない。たまに何だかのほほんと、「女優の〇〇さんが〇〇株式会社の社外取締役に就任しました」「すごいですね!」と報じられているが、社外取締役はきちんと役目を果たさないと株主から訴訟の対象となる。

口先だけではなく、真剣にやろう

 報告書では、〈ステークホルダー目線を有する社外取締役が主導して、取締役会メンバーの多様性の確保、長期在任者の適格性、年齢層の若返り、重要な経営課題に対処できるスキルの特定とスキルマトリックスへの反映など、役員指名ガバナンスに必要な議論を十分に尽くした上で、取締役選任議案を策定すべきである〉と記している。筆者も大いに賛成だ。

 フジテレビにも一応、コンプライアンスのガイドラインがあり、「私たちは、取引先との間で、社会通念上不適切な接待、贈答、その他経済的利益の. 授受を行わず、常に社会規範に即した行動に努めます」と宣言している。はい、そのとおり。ちゃんとやりましょう。

 企業の不正防止策として「3つのディフェンスライン」というものがある。各部門で不正が起きないようにするだけでなく、接する部門や、監査部門が相互監視することで不正を防ぐものだ。仕組みを作ったら、「決まったことは、ちゃんとやろう」と全員が当事者意識を持って実行しなければならない。これが徹底できなければ、元の木阿弥である。