共用部分の保険料が爆上がり!どうやって見直すか

 24年10月に火災保険料の参考純率(損害保険料率算出機構が提供する料率)が13%引き上げられたことで、マンション保険(共用部分の損害保険)の保険料も値上げされます。多くの管理組合は5年に一度更新時期を迎えますが、保険料の改定はほぼ毎年行われ、近年は特にその上昇幅も大きいことから、5年たつと次期の保険料がそれまでの2~3倍になるケースも珍しくありません。

 特に築20年を超えたマンションでは漏水事故の発生率が高くなり、保険料が一気にアップします。ただし保険料は工夫次第で下げられる部分でもあるのです。

 もし、今住んでいるマンション保険の契約期間が1年更新のままだったら、これを最長の5年に見直すことによって保険料率が約10%割引になります。値上げトレンドの中で、保険料を5年間固定できるメリットは大きいです。

 また、一度保険を使うと、1万円の修理でも1億円の修理でも同じ1回にカウントされて、次回更新時の保険料率に影響してしまいます。免責額をやや高めに設定し、保険は高額の修理に対して使うことに徹し、軽微な修理であれば適用しない方が、結局のところリスク対策コストも下がります。同じ理由で、個人賠償責任保険を特約から外すことを考えてもいいでしょう。

 地震保険も、加入するかどうか検討した方がいいでしょう。管理組合が加入する地震保険の補償対象になるのは、地震や噴火、津波やこれらに起因する共用部分の火災・損壊・埋没・流失です。ある程度の金額の地震保険に加入しようと思うと、その分付帯する火災保険の金額も上げざるを得ません(地震保険の契約額は、火災保険の契約額の30~50%の範囲内)。

 マンション保険に加入する際は、必ず複数の保険会社から見積もりをとりましょう。地震保険は、国と保険会社が共同運営しているので各社とも補償内容も保険料も同じですが、マンション保険は会社によって補償内容が著しく違います。自分のマンションに適した補償内容で、かつ適正な保険料のプランを選ぶようにしましょう。これらの工夫によって、保険料のコストダウンを図ることは可能です。

應田治彦写真提供:應田治彦氏
應田治彦

おうた・はるひこ/マンション管理士、RJC48(マンション管理組合理事長勉強会)代表。診断マンション管理士(日本マンション管理士会連合会)として、管理状況の診断業務にも従事。理事会役員歴は15年以上。マンション愛にあふれる管理への思いを、Xほかで日々精力的に発信している。

※應田氏X  https://x.com/haruboo0