TBSは批判され、擁護された

 永野さんは、31日24時(4月1日0時)にパーソナリティを務めるラジオ番組「オールナイトニッポンX」でこの件について言及。収録を楽しんだことと、追いかけられたから驚いて涙が出てしまっただけだということをきちんと自分の言葉で説明した。

 SNSで切り取られ拡散された動画以降の番組本編では、一時離席した永野さんが戻った後に笑顔を見せたり、江頭さんにエールを送るなどの様子が見られた点が指摘、そして注目され、「永野さんはプロだった。本当にただ涙が出てしまったというだけのことだと思う」といった意見が多くなった。ネット記事も「永野さんにも非はなかった」というトーンになっていった。

 すると今度は番組を制作したTBSに批判が集まり出した。江頭さんを番組に呼んだということは制作サイドも江頭さんの暴走を期待していた。江頭さんはその期待にきっちり応えた。だがその結果出演者が泣いてしまったり、炎上を招いてしまったのはあまりにも準備不足ではないか……というわけである。

 TBS批判が一通り続くと、次にTBSを評価する声も一定数聞かれ始めた。「コンプラでがんじがらめのこの時代、江頭さん起用の冒険の一歩を踏み出したテレビマンに拍手」というものである。

 じゃあ結局誰が悪いのかということで、「叩いている人たちが悪い」「叩く人たちのせいでテレビが面白くなくなってる」というのが今である。

 今回の一連の報道に関しては、SNSで醸成された世論をネットメディアが追いかけていった感がある。最初はネットメディアの江頭さんバッシングから幕を開けたが、想定以上に江頭さんを擁護する人が多かったようである。

 コラムニストの木村隆志さんは、批判記事が思ったより伸びなかったためネットメディアが途中から徐々に方針を変えたと指摘している。

 今この時点から眺めれば、江頭さん→永野さん→TBSへとバッシング対象が次々に移っていく様子が滑稽に思われるが、そのときそのときのムードはその時間をリアルタイムで生きている人にしかわからない。

 筆者はTBSバッシングの辺りから本件を知ったが、元から江頭さんの大ファンとはいえ、初動の江頭さんバッシングに触れていたら「エガちゃんやらかしちゃったか」と少しくらいは思ったかもしれない。