血糖が上昇しやすくなると、その時の高血糖分はタンパク質に結合して、AGE(終末糖化産物)と呼ばれる悪玉物質に変化します。AGEはどんどん体に蓄積して、血管をはじめ臓器に障害を起こします。短期借り入れの高血糖によって、AGEという大きな負債を抱え込むことになります。
老化負債その(2)
血圧負債:血圧モーニングサージ
血圧は朝が高く、夕方に向け徐々に低くなっていき、(午後9時頃の血圧がその人の平均の血圧に近いといわれています)夜間は低く保たれるのが正常のパターンです。朝方だけ異常に高い血圧の方がいますが、これは血圧のモーニングサージ(サージは、急激に上がること)と呼ばれます。また、日中、緊張するような場所(たとえば病院など)で血圧が上がる人もいます。
来院ごとに血圧の値がばらばらの方もいます。いつも血圧が高いわけでもないので、ついつい、まあいいか、と思いがちですが、やはりこのような人でも、血圧がいつも正常な人に比べ、将来、心血管病が起こるリスクは高いことが知られています。血圧の絶対値だけではなく、血圧が変動すること自体が血圧負債となります。
また、モーニングサージが見られる人は寝ている間も血圧が高いことがあります。夜、血圧を測ることが少ないので、見過ごされがちですが、「夜間高血圧」は危険です。血圧が高いために血管の弾力性が失われる、腎臓の機能が低下する、あるいは糖尿病も合併している時には自律神経が傷害を受けて、夜間も血圧が高いままになります。ですから、「夜間高血圧」は、ある程度「血圧負債」が溜まってきている兆候です。
モーニングサージや夜間高血圧など血圧負債は、この次にお話しする「質のいい睡眠」により、ある程度解消されます。
肥満の方では、寝ている間に一時的に気道が閉塞する「睡眠時無呼吸」になりやすいです。一時的に低酸素となった時に血圧が上昇します。肥満にならないようにすることも血圧負債の返済においては重要です。
老化負債その(3)
多くの人が悩む睡眠負債
寝不足、「睡眠負債」は、短期借り入れで最もポピュラーな負債ではないでしょうか。日本人は世界で一番睡眠の短い民族です。経済協力開発機構の2021年調査では、日本人の平均睡眠時間は、7時間22分です。もっと睡眠時間が短い方もたくさんいると思います。