
2024年度の企業倒産が11年ぶりに1万件を超えた。こうした中、トランプ関税により、自動車業界をはじめとする多くの業界への深刻な影響も懸念されている。今後の見通しについて、専門家が解説する。(帝国データバンク 情報統括部 情報取材課長 阿部成伸)
トランプ関税による影響が
懸念される国内自動車業界
2024年度(24年4月~25年3月)の全国企業倒産(法的整理かつ負債1000万円以上)は、件数が前年度を13.4%上回る1万70件となり、2013年度(1万102件)以来、11年ぶりに1万件を超えた。一方、負債総額はコロナ支援策で延命されていた負債1億円未満の小規模事業者が増えたことが大きな要因となり、前年度を7.5%下回る2兆2525億7200万円となった。
また、年間の倒産動向をみると、今年1月~3月の累計件数は2473件で、前年同期(2304件)を7.3%上回っている。22年度、23年度よりも増加ペースは落ち着きを見せているが、年間件数も年度件数と同様、1万件を超える可能性が高いとみている。
こうしたなか、トランプ関税が世界経済を混乱させているが、国内でまず注目されるのは自動車業界だ。実際、日本からアメリカへ輸出された品目総額のうち34.2%(※)が自動車および自動車部品で占められているほか、帝国データバンクの調査では、国内自動車メーカー10社の国内サプライチェーンは6万8485社(2024年11月現在)にのぼることが判明している。