東急多摩川線の全列車が
京急蒲田まで直通か

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 第二は運行頻度だ。現在の東急多摩川線は、朝ラッシュ時が1時間あたり16本、日中が同8本なのに対し、新空港線は朝ラッシュ時同20本程度、その他時間帯同10本程度の運行を想定していると発表された。基本的には現在の東急多摩川線の全列車が京急蒲田まで直通する計算だ。

 現行ダイヤとの差分、朝ラッシュ時同4本、日中同2本が東横線からの直通列車になるとみられる。東横線の新横浜線直通列車は急行が朝ラッシュ時に同3本、日中同2本乗り入れており、新空港線も直通急行が同程度設定されるイメージなのかもしれない。ただ、新空港線に4本、新横浜線に3本の急行を設定すると、横浜・みなとみらい方面の急行がほとんどなくなってしまうため、あわせて輸送形態の抜本的な見直しが必要になる。

 もっとも、開業は早くても15年以上先だ。政府は2030年にインバウンド6000万人の目標を掲げているが、2040年の「羽田空港像」はまだ分からない。空港輸送の在り方に関連して、JR東日本の羽田空港アクセス線西山手ルートの事業化も具体化するだろう。

 一方、インバウンド需要が見込める羽田空港アクセス線に対し、新空港線は日本人の利用が中心になると思われるが、国立社会保障・人口問題研究所の2023年推計によれば、東京都の人口は2040年をピークに減少する見通しだ。事業化後も社会情勢などの変化に臨機に対応することで、真の意味で人々に必要とされ、愛される路線となることを期待したい。