「安定」と「変化」の二刀流で銘柄選定!
「ニュー配当利回り株オープン[愛称:配当物語]」
◆下がりにくさが優秀! 直近4年は高い安定度
三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する「ニュー配当利回り株オープン[愛称:配当物語]」は、当グランプリで2回連続の受賞。予想配当利回りが高い銘柄を中心に投資。財務の健全性や業績動向も考慮して銘柄を選定する。組入上位にはソフトバンクや武田薬品工業、三菱商事など、予想配当利回り4%前後の企業がズラリ。
一方、東京エレクトロンや日立製作所など、配当利回り3%未満の銘柄も。これらは中長期的な業績拡大と、今後の株主還元強化に期待しての投資だ。このように、高配当で業績もいい「安定」した企業と、業績成長により株主還元の強化が予想される「変化」のある企業の二刀流で銘柄を選択している。
(1)の上がったかは、どの期間でもTOPIXを上回る上昇率。特に3年、5年は90点台の高得点だ。(2)の下がりにくさは、最大下落率が平均より8ポイントも小さい。(3)の安定度は、直近4年間は上位だ。1月と7月に分配を行うが、ここ数年は60円ずつで控えめ。資産の成長を狙う人向きだ。信託報酬が1%未満なのも魅力。
好成績を維持し、分配金利回りは17%
「日本株配当オープン[愛称:四季の実り]」
◆成績は全期間で90点以上、安定度でも高評価を獲得
三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する「日本株配当オープン[愛称:四季の実り]」も2回連続の受賞。予想配当利回りの高い銘柄や増配が予想される銘柄に投資する。「配当物語」と同じ運用会社による、高配当株中心の投資信託だ。
メガバンクをはじめとする王道の高配当銘柄の組入比率が高い。一方で、組入上位には日立製作所や光通信といった、予想配当利回りが1%台の銘柄も散見される。配当収益だけでなく値上がり益の追求も目指しており、増配により株価上昇が期待できる銘柄も組み入れているためだ。
評価基準(1)の上がったかは、すべての期間で90点以上と優秀。(3)の安定度も直近4年間は80点以上だ。(2)の下がりにくさは「配当物語」に一歩譲る。とはいえ最大下落率は平均より小さく、これも高得点だ。
分配金は3カ月に1度で、2023年4月以降は526円をキープ。直近1年の合計は2100円となった。2025年2月末時点の基準価額で計算すると、実績の分配金利回りは約17%に。より多くの定期収入が欲しい人には、こちらがおおすすめだ。
PBRとROE2つの指標で割安銘柄を発掘
「大和住銀DC国内株式ファンド」
◆5年の成績がいいうえ、下がりにくさも優秀!
三井住友DSアセットマネジメントが運用する「大和住銀DC国内株式ファンド」は、3回連続の受賞。日本の大型・中型株から割安な銘柄に投資。PBRとROE2つの指標を組み合わせた独自の“理論曲線”を開発し、その下にある銘柄を割安と判断する。シンプルな手法だが、この曲線を10年以上使い続け、良好な実績を上げてきた。
(1)の上がったかは、5年の上昇率が120%と高く、TOPIXの82.5%を37.5ポイントも上回る。3年の成績もよく、5年・3年で90点台を獲得した。さらに(2)の下がりにくさも優秀だ。最大下落率は平均の半分程度で、2020年3月のコロナショック時でもマイナス8%しか下がっていない。割安株運用の底堅さが効いている。(3)の成績の安定度は2021年から4年連続で上位25%圏内をキープ。98.9点と満点に近かった。
NISAではつみたて投資枠のみの対象で購入手数料は無料。成長投資枠では買えない。年1回の決算だが、分配金は出していない。
5年・3年・1年いずれも指数を大幅に上回る!
「三菱UFJ バリューオープン」
◆2024年は36.2%上昇、部門内で3位の成績に
三菱UFJアセットマネジメントが運用する「三菱UFJ バリューオープン」は、低PBRなど定量分析に加えて、経営の質や収益構造の変化に注目して銘柄を選定。例えば、SWCC(旧昭和電線)は、社長交代に伴う構造改革に期待して投資した。
上昇率は5年・3年・1年と、どの期間も指数をかなり上回り、いずれも90点台。(1)上がったかで300点満点中290点を超えたのは、受賞全投資信託30本の中でも3本だけだ。最大下落率もマイナス12.6%と平均より小さく、(2)の下がりにくさもまずまず。(3)成績の安定度は、2020年は下位20%圏に沈んだが、2021年以降は上位をキープ。特に2024年の成績は部門3位だった。
分配金は年に1回、成績に応じて出す。2024年9月は350円だった。
割安株投資だがROEの高さに注目!
「三井住友DS日本バリュー株ファンド[愛称:黒潮]」
◆直近4年連続して上位25%の成績をキープ
三井住友DSアセットマネジメントの「三井住友DS日本バリュー株ファンド[愛称:黒潮]」は、1999年の設定で25年の運用実績。大型割安株に長期投資する。ROEを重視しつつPBRで割安度を判断。AIを活用して東証に上場する全企業の決算短信を分析し、変化の兆しを見つけているのも特徴だ。
上昇率は5年・3年・1年いずれもTOPIXを上回る。中でも5年・3年と中長期が好成績だ。最大下落率はマイナス9.1%と平均よりもかなり小さく、(2)の下がりにくさが92.5点の高得点。さらに直近4年連続して成績上位25%圏内にあり、(3)成績の安定度は96.6点をつけた。
分配金は成績に応じて年1回。2024年7月は1550円、2023年7月は850円と高水準だった。
市場環境に合わせて業種を入れ替え
「新経済成長ジャパン」
◆5年・3年・1年の成績がいずれも90点台と高い
SBI岡三アセットマネジメントが運用する「新経済成長ジャパン」は、市場環境の変化に合わせて機動的に業種や銘柄を入れ替える。2月は自動車セクターで米国市場への依存が高い銘柄から、アジアに展開する銘柄に入れ替え。建設株や電子材料株は売却し、IP(知的所有権)に強いデジタル・エンターテイメント関連や医薬品を組み入れた。
(1)上がったかは5年・3年・1年ともかなりよく、いずれも90点台を獲得した。(2)最大下落率はマイナス13.5%で、平均よりも小さい。(3)成績の安定度は、年によってややバラつきがある。2021年は下位15%と不調、2023年も半分以下だったが、2022年と2024年は上位10%圏内に入った。分配金は6月と12月の年に2回、積極的に出している。
組入の6割は銀行株、金利上昇が追い風に!
「ダイワ金融新時代ファンド」
◆金利上昇局面に乗って上昇率はトップ級
大和アセットマネジメントが運用する「ダイワ金融新時代ファンド」は、金融セクターに集中投資する特化型運用。銀行株が6割を占める。日本に17年ぶりに訪れた金利上昇局面が追い風となり銀行株は絶好調。同投資信託も3年で123.2%、1年で46.7%上昇し、これは日本株総合部門でトップ。(1)上がったかの合計が299.2点とほぼ満点をつけた。今後も金利上昇や賃上げ、経営改革で、金融株の値上がりを見込む。
ただし、一業種特化型だけにリスクも高め。最大下落率はマイナス16.6%と平均より大きく、(2)下がりにくさは31点台と低スコアだった。(3)成績の安定度もややブレが大きい。2020年は下位10%以下だが、一方で2021・2022・2024年はトップ級。分配金は年に2回、成績に応じて出す。
成長株が不利な環境でも健闘
「大和住銀日本グロース株ファンド[愛称:海のくに]」
◆2024年の成績はトップ10入り
三井住友DSアセットマネジメントが運用する「大和住銀日本グロース株ファンド[愛称:海のくに]」は、成長性に着目するが、割高すぎる銘柄は買わない戦略。そのためにPEG倍率を指標として用いる。PEG倍率=PER÷利益成長率(%)で、小さいほど割安とされる。
2024年は特に好調で、1年の上昇率が30.8%とTOPIXを10ポイント超上回る。最大下落率マイナス11%を記録したのが2022年9月と成長株相場が崩れた時期。成長性に着目しながら運用していることがうかがえる。(2)下がりにくさは83点だった。各年の成績は中位が続いたが、成長株型としては大健闘。(3)成績の安定度は78.9点をつけた。分配金は成績に応じて年に1回。苦戦した2022年は出していない。
将来の利益に着目した銘柄選定が特徴!
「キャッシュフロー経営評価オープン[愛称:選球眼]」
◆成績が安定しており、成績の安定度は90点台を獲得
三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する「キャッシュフロー経営評価オープン[愛称:選球眼]」は、潜在的な収益力に比べて株価が割安に放置されている銘柄や、業績が底打ち・拡大したと判断した銘柄に投資する。例えば2025年2月は、業績の推移に比べて株価が割安だと判断したルネサスエレクトロニクスやアサヒグループホールディングスを買い、割安感が薄れた伊藤忠商事やリコーを売却した。
上昇率は5年・3年・1年いずれの期間においてもTOPIXを上回った。最大下落率はマイナス14.1%で、平均よりは小さいものの中庸な水準。(2)下がりにくさは56.5点にとどまった。目立ってよかったのが(3)成績の安定度で、2021年以降は高い位置をキープし、90点台の高得点をつけた。分配金は成績に応じて年1回。
[2025年]受賞投資信託30本一覧
▼日本株総合部門
▼日本中小型株部門
▼米国株部門
▼世界株部門
▼新興国株部門
▼リート部門
▼フレッシャー賞
▼もっとがんばりま賞
▼(番外編)インデックス型「最安ランキング」
▼当グランプリの「選定基準」はこちら⇒https://diamond.jp/articles/-/363017