
Photo: Billy H.C.Kwok for The Wall Street Journal
市場が急速に動いている場合には、小さくて機敏である方が有利なことが多い。だが時には、巨大であらゆる場所に存在することが最大の強みになることもある。
これは米アマゾン・ドット・コムと同社の多様な事業群に当てはまる。これらにはクラウドコンピューティング事業、ストリーミングプラットフォーム、そして世界規模のサプライチェーン(供給網)と数億人の顧客を持つオンライン小売り事業が含まれる。
アマゾンの小売り事業は、米国と中国との間で激化する貿易戦争によって特に大きな影響を受けている。トランプ政権は現在、中国からの輸入品に145%の関税を課している。モルガン・スタンレーの推計によると、アマゾンが直接販売する商品のうち、中国製は約25%を占める。また、昨年のアマゾンの売上高の半分以上は北米で計上された。
だがアマゾンは世界規模で事業を展開していることによって、多くの競合他社にはない選択肢を持っている。
アマゾンは大規模な物流ネットワークと世界各地のサプライヤーとの関係を生かし、関税の影響が比較的小さい国に在庫や生産を移すことができる。トランプ政権が広範囲にわたる関税を課した後、アマゾンは中国の販売業者への発注を一部キャンセルしており、これは地理的シフトの始まりとなる可能性がある。
アマゾンはその規模によって、サプライヤーに圧力をかけ、価格の高騰を抑える力を備えている。これはアマゾンが市場シェアを拡大する機会につながるとトゥルーイストのアナリストであるユセフ・スクワリ氏はみている。
アマゾンのアンディ・ジャシー最高経営責任者(CEO)はCNBCとのインタビューで、同社は潤沢な資金力を生かし、関税発動前に戦略的に在庫を確保したことも明らかにした。