
3度のワールドカップで
主将を任された長谷部誠
静岡県中部にあり、静岡市のベッドタウンになっている藤枝市。県立藤枝東高校は、100年を超える伝統があり、サッカーを「校技」としている。
知名度が最も高い卒業生は、サッカーの長谷部誠(1984年1月生まれ)だ。3度のワールドカップ(W杯)で主将を任され、2度の16強進出に大きく貢献した。2024年のシーズンで現役を引退し、指導者の道を歩んでいる。日本のサッカー界を将来、背負って立つリーダーになる可能性を秘めた逸材だ。
長谷部は藤枝市出身で、大学進学はせず藤枝東高校を卒業して浦和レッズに加入した。2002年から07年にかけレギュラーとしてJI優勝など浦和のタイトル獲得に貢献した。通算149試合に出場した。
08年にドイツ・ブンデスリーガのヴォルフスブルクに移籍し、13~14年はニュルンベルク、14~24年はフランクフルトに所属した。ドイツ1部通算384試合の出場で、アジア選手としては歴代1位の出場記録を残した。
10年に南アフリカで開催されたFIFA(国際サッカー連盟)・W杯の日本代表メンバーに選出され、主将に指名された。以降、14年、18年のW杯でも主将を、また日本代表として出場した国際試合では歴代最多の通算81試合で主将を務めた。
現役生活の最後に所属したフランクフルトでU21(21歳以下)チームのアシスタントコーチになった。また、26年W杯の日本代表チームのコーチにも就任、日本とドイツを行ったり来たりしている。
長谷部は、個人の活躍よりも組織の成功を最優先に動く存在として、周囲の信頼を得てきた。自著では「『みんなで日本のサッカーを強くしていく』ことに使命を感じている」と記している。優れたリーダーになる素養がある、と判断できるのではないか。