部下「あれ、課長。今日のネクタイ、いつもと違う感じですね」

課長「そうなんだよ。実はこれ、娘がプレゼントしてくれてね」

 さて、この課長の発言に対するリアクションとして、もし部下が「いいですね」と敬語で答えた場合と、「えー!いいなぁ」と自分の感情をタメ口で答えた場合、どちらが親しみを持てますか?どちらがより社交辞令ではなく本音で言っているように思えますか?

部下「いいですね」「えー!いいなぁ」同書より 拡大画像表示

 もちろん、敬語でのリアクションでもまったく問題はありません。ただ、おそらくほとんどの人は、このタメ口のリアクションにも特に失礼な印象を持たないのではないでしょうか。

 そして、思わず出てしまった本音の発言のような印象を抱くはずです。これがすっぴんことばであるタメ口のチカラなのです。

 そして、もうひとつのポイントは、「自分の感情」と「本音」という概念が結びつきやすいということです。

 自分の感情を述べる分には、ポロッと本音がこぼれてしまっているようなものですから、それほど相手にも失礼に感じさせません。

 もちろん、否定的な感情を出すのは論外ですが、こういった、相手が聞いて喜ぶような肯定的な発言に限るのも、タメ口を有効的に活用するコツです。

 また、自分の感情表現に加えてもうひとつ、敬語を使うべき相手にタメ口を用いることが失礼にならないパターンがあります。それは、納得した心のつぶやきがタメ口として出たときです。

 例えば相手の話を聞いて、「そっか、そう考えればいいのか!さすがです。勉強になります」とタメ口を混ぜても、実際はそれほど失礼に聞こえないのではないでしょうか?

 相手のことばに納得する場合は、相手の意見を肯定的に評価しているのもポイントです。