「変わるメディア」と「変われないメディア」の違い

ハルメクホールディングスは、2023年3月に東京証券取引所グロース市場に上場した。公募価格は1720円。初値は1900円を超えた。
上場をしたのは、規模が拡大しているためにシステム投資に資金を必要としていることもあった。
また、新聞社は、紙の定期購読で部数が上向いているということで、せっせと山岡を研修会に招いているのだが、会社としては、あと10年もすれば市場はまた大きく変わると考えている。現在の50歳は社会に出たときにウィンドウズ95が発売になっている。シニア女性ということで、現在は紙で読者をとっているが、いずれウェブにうつっていくだろう。そのために、デジタル有料版である「ハルメク365」を始めている。これに対する投資も必要だ。
山岡は、新聞社に呼ばれて話をすることはありがたいことだと考えている。しかし時々、本当にこの人たちは変わろうという気があるのか、と疑問に思うこともあるそうだ。
ハルメクの再生劇は、実はメディアの買収が可能だということから始まっている。オーナーが創業したシニア女性向けの通販と雑誌の会社を、ファンドが買収したところから、大きく変わることができ、最終的には、自分たちの会社として独立することができた。
日本の新聞社の場合、日刊新聞法という法律があって、株式の譲渡を定款によって制限できることから、買収がきわめて難しい。
言論の自由を守るためと導入された規制だが、しかし、それが、ずっと同じタイプの人たちがメディアを経営するということになり、変化を阻んでいる。
そういったところから根本的に考えることでしか、「ハルメク」の事例は、いくら話を聞いても参考にはならない。