もちろん、職業はただの手段で、「日本をもう一度豊かにする」ということこそが目的です。とはいえ一定の成果が出たとはいえるでしょう。

苦労したのに評価されない…
それでも成功できる人の思考法

 こうして1時期は前向きに次の一手を打ち続けられました。でも、その後も「中卒で自衛隊に入隊した」という過去は筆者を悩ませ続けました。

「文壇の人脈がもっとある家庭だったら」「お金があれば中高一貫校に通えたのに」「どうして自分だけ受験でも何でも不利な状況で戦わないといけないんだ」「どうして自分はこんなに苦労したのに認められなくて、順風満帆な人のほうが評価され、もてはやされるのだろう」。何度もこの問題に戻ってきてしまいました。

 もう終わったことですし、すでに次の一手も打っているのに、です。これでは脳みそのムダづかいでしょう。筆者は、15歳から35歳までの20年間で、何度も何度もこれについての七転八起の四角形を再確認してきました。そのたびに「やはりこの道で良かったこと」が見つかり続けます。

 たとえば「効率のよい勉強法を身につけられた」「勉強や学問への情熱がますます猛った」「様々な経験ができたので逆境に強くなれた」などです。 

父の会社が倒産→中卒で自衛隊→慶應の准教授…経営学者の人生を変えた「七転八起の四角形」とは?同書より転載

 また、「今から打てる次の一手」も見つかります。論壇誌に定期的に寄稿して文章力を磨き続ける、学術団体の理事・評議員になる、ハーバード大学をはじめとした海外有名大学の客員教授になる、世界中から研究者を招へいして世界最高の経営学の研究拠点を作る、などです。

 どんなに優秀な人でも、脳みそという人間にとっての最重要資源を悩みという非生産的な活動に使っていたら、人生は悪い方向にしか進みません。

 常に現状を肯定的に捉えなおし、誰よりも前向きに、誰よりも多く次の一手を打ち続ければ、どう論理的に考えても人生が好転するに決まっているでしょう。