しかし、現在の人びとは、当時の人びとよりもはるかに豊かな生活を、はるかに長いあいだつづけることができる。現在のわれわれの姿を当時の人びとが目にすれば、彼らも長生きに賛成したはずだ。

 同様に、われわれが不老長寿テクノロジーはよいものではないと考えるのは、寿命が延びたあとの生活を正しく想像できないからかもしれない。われわれは、それを長く続く老人生活や同じ出来事の繰り返しといったイメージで捉えがちだ。しかし、実際にはまったく違う可能性が開けているのかもしれない。

 アリソンの反論はこのようなものだ。これもまた、それなりに説得的な議論だ。どちらの言い分が正しいのだろう。そして、人生はどのくらい長ければ十分なのだろう。