コアタイム外の業務や研修を会社が命令することはできない?
飯尾「それに、コアタイムでない時間帯に、何かトラブルが発生したらどうするんですか!担当者にトラブル対応も命じられないってことですか?」
カタリーナ「何の根拠なく、使用者の一方的な指示で行うことはできないわ。この場合、就業規則や労使協定で業務上の必要性がある場合にコアタイム外も業務を命じることがある旨の規定があれば、例外的に可能だという解釈はできるわね」
飯尾「就業規則のことはよくわからないので、そうした内容が盛り込まれているかどうか、明日会社で確認してみます」
カタリーナ「ただ、これはあくまでも例外。本来は、コアタイム外の時間に勤務を命じることはできないということは覚えておいて。社内の定例会議であれば、なおさらコアタイムに設定すべきよ」
飯尾「そうですか......。じゃあ、研修への参加命令もできないってことですか?」
カタリーナ「特定の日の始業・終業時刻を指定することはできないわ。ただ、本人の同意があれば話は別よ」
飯尾「なるほど。命令ではなく、提案ベースで打診するのはアリってことですね」
配慮のつもりが「マミートラック」になることがある
カタリーナ「ところで、なぜあなたは部下に、『会議に出なくていい』だなんて言ったの?」
飯尾「それは、彼女が育児と仕事の両立で大変だろうと思って……。うちの職場はシングルが多くて、子育てしながら働いている女性は彼女くらいで。僕なりに、配慮のつもりで言ったんですよ」
カタリーナ「そんなぶっきらぼうな言い方で、相手に伝わると思う?配慮のしすぎから、マミートラックにつながっていくケースが後を絶たないのよ」
飯尾「マミートラック?なんですかそれは」
カタリーナ「産休や育休から復帰したあと、育児をしながら働く女性が、本来のキャリアアップの機会を奪われたり、出世コースから外れてしまったりすることよ」
飯尾「そんなつもりはまったくなかったのに……まさか、ハラスメントと言われてしまうなんて。ショックです」