「企業は定着率を気にして『辞めなさそうな人』を好んで採用しているのではないか」と考える人がいるかもしれませんが、面接項目にそうした基準が入っている会社はあまり見たことがありません。企業は「辞めないこと」を重視しているのではなく、「すぐ辞めそうな人」を避けているのです。
ただし、例外もあります。ある大手企業の担当者は「当社の面接のハードルはかなり低いです。入社後の仕事が本当の面接のようになっていて、1年後には採用者の10分の1しか残っていません」と言っていました。実際の業務でふるいにかけ、大半が辞めることを前提に大量採用する会社もあるわけです。
面接と履歴書で「すぐ辞める人」を
見抜く方法
「すぐ辞める」といっても、「すぐ」の期間は業界や業種によってさまざまです。ITスタートアップ界隈はこの感覚が非常に短く、ゲーム会社では新しいタイトルごとに移っていく人が珍しくありません。
したがって一概にこれくらいとは言えませんが、一人前になる前に大した成果を出せないまま辞めてしまうのは個人にとってもよいことではありません。スキルや経験を充分に伸ばせないまま、時間だけ経過していくからです。新たに転職活動を行う手間や時間も負担になるでしょう。
「すぐ辞めてしまいそうな人」は履歴書にその傾向が現れます。短期間で周期的に転職を繰り返している人は、その可能性が高い。2年サイクルで転職している人なら「採用しても2年くらいで辞めてしまうだろう……」と警戒されるわけです。さらに面接で退職理由を質問し、すぐに辞めてしまう可能性を検討していきます。
面接中の態度や言動に現れる人もいます。中には「将来は経営者になって、自分で事業をやりたい」という若い人がいます。向上心や意気込み自体はよいのですが、その気持ちを強く出し過ぎると「うちのノウハウを吸収したらすぐに辞めそうだ」「下手をすれば競合になるかもしれない……」と警戒されてしまいます。