もちろん転職してみたら事前の想定とはあまりにも違い過ぎた、という理由で短期離職するケースもあるでしょう。転職活動ではそうした事態に陥らないように転職活動をする個人の側も継続的に働ける環境かをきちんと確認することが大切です。

 そこで見るべきポイントは「目の前の安心・安全」と「将来の希望」です。自分や家族の生活を支える給与や待遇がきちんとしていなければ、いくら将来有望な事業でもやっていけません。そして目の前の安心・安全が確保されていても、明るい将来を感じられなければ一生懸命働き続けることは難しい。この両方が満たされているかどうか。

 逆に企業は転職が当たり前の時代に成長意欲の高い優秀な人材に活躍し続けてもらおうと思ったら、この2点を明確に示し続けていく必要があります。安心・安全を確保したうえで経営者が実現したいビジョンを掲げ、組織が一丸となってそこに邁進しているかどうか。

 転職希望者がチェックすべきは、経営者が示すビジョンへの共感と、面接で会う社員がビジョンの実現に真剣に取り組んでいるかという点です。

「目の前の安心・安全」と「将来の希望」「企業のビジョンに共感できるか」「社員もビジョンに共感しているか」――これら4つの条件を満たしている企業であれば、すぐに辞めてしまうような事態を回避し、気持ちよく働き続けられる可能性が高まると思います。

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