――なぜですか。
まず、2007年の逮捕においては、半月余りという短期間で釈放されたことなどから、「機会費用」がそれほど大きくならなかったことが挙げられます。一方で、市場価値については彼女の刑務所体験が、「苦労知らずの富裕層」というイメージに少なからず箔(はく)をつけたというのがボージャスの見方です。実際、出所後はいくつものメディアが彼女の独占インタビューを取り上げたといいます。
芸能人のスキャンダルは、短期的には彼らのビジネスに損失を与えるかもしれませんが、長期的な成功はその後のイメージ戦略次第です。むしろ、その失敗を強みにすることもできる。もちろん、スキャンダルの内容や復帰後に同じ失敗をしない、ということも重要ですが。
嵐が活動休止直前に
大胆なネット戦略に取り組むワケ
話はもどりますが、二宮さんの結婚でいうと、彼が所属するグループ、嵐が2020年末で休止を発表していることで、彼の結婚発表が今後のビジネスに与えるリスクはずいぶん小さくなったと思いますよ。サンクコスト(すでに使ってしまって取り返しようがない費用)にとらわれなくてすむので、大きなチャレンジができるのです。
このことは、彼らが今年行った大胆な戦略にも当てはまるでしょうね。
――嵐は今年、TwitterやInstagram、YouTubeチャンネルの開設など、ジャニーズ事務所所属のタレントでは珍しくグループとしてSNSの活用を開始。さらに、Apple Musicなどサブスクリプション型サービスでの楽曲配信も始まりました。
今までジャニーズ事務所所属のアイドルは、ネット活用をだいぶ制限してきていました。反対に、動画や画像など、ファンによるネットでの拡散をある程度容認しつつ、その拡散力を武器に“ゆるい著作権”戦略で支持を拡大していったのがK-POPアイドルです。
このようなネット活用にジャニーズ事務所としても挑戦しようという姿勢が見てとれますね。そして、この挑戦を新しいグループではなく、ジャニーズ事務所の旗艦店たる嵐で行うと。これは相当インパクトが大きいですね。
嵐はSNSを活用することで、現代的な「24時間型消費のアイドル」になったのです。しかしながら、24時間型消費のアイドルになり、ファンとの接点が増えれば、それだけ運営側のコストがかかるようになります。そういう意味では、嵐はいったんの活動休止の時期が決まっているため、SNSを運用するうえでのリスクが管理しやすく、メンバー自身への負担も小さいといえます。