というわけで、「採用」のマネジメントに触れておきたいと思います。
軍事的組織における採用とは、「“優秀な人材”を確保する活動」です。ここでは、あくまで事業目標を達成することが求められているので、戦略上の要件定義に適合していて学歴・経歴・資格・スキルなどのスペックが高い人材をできるだけ多く調達しようとします。「そのうちの何割かが生き残って活躍してくれればいい」といった適者生存的な考え方です。
一方、冒険する組織における採用は、「“波長が合う仲間”を探す活動」です。もちろん、事業の方向性に沿った人材であることは大前提ですが、ただスペックの優秀さだけではなく、「波長が合うかどうか」、つまり、機能的な整合だけでなく、精神的な整合を築けそうかどうかが重視されます。どれほど優秀であっても、冒険する組織においては“波長が合う仲間”でなければ、その才能を発揮して活躍し続けることは難しいからです。
採用段階でそんなことはたしかめようがない――そう考える人もいるかもしれません。
履歴書の提出不要!?
対話で相性を見極める
しかし、旧来の採用のやり方に縛られずに工夫すれば、いくらでもやりようがあります。
たしかに、どれだけ履歴書を眺めたり、過去の実績を尋ねたりしても、採用候補者が組織の精神的側面とマッチするかは判断しようがありません。波長が合うかどうかをたしかめるために唯一できることがあるとすれば、それは「対話」です。チームづくりと同様で、採用面談においても対話を重ねていくプロセスは不可欠です。
これまでどんなアイデンティティ探究を繰り返してきたか、どんな自己実現の展望を持っているのか、組織のカルチャーに合いそうか、ほかのメンバーとコラボレーションできそうか、一緒に探究を続けていけそうか――。さまざまな問いかけを繰り返しながら、時間をかけてじっくりお互いを理解していくのです。
こうした考えから、MIMIGURIでは採用時にいわゆる「履歴書」の提出を必須にしていません。その代わり、入社前に最低でも5回以上は面談を重ねるようにし、十分にお互いの理解を深めてから仲間に加わってもらうようにしています。