「これまでどんな探究をしてきたのか?」について詳しく語り合っていく過程で、相手のこれまでの職歴や業務内容についても把握できるので、スキル上のミスマッチが起きることはまずありません。ただし、決まったフォーマットに基づいて表面的なスペックを洗い出すことをしていないので、入社してしばらく経ってから仲間の出身大学や保有資格を知るといったサプライズはよくあります。
面談で求職者を値踏み
してはいけない理由
一方で、求職者が自身のキャリアについて、あらかじめ十分にリフレクションできているともかぎりません。
いきなり「あなたのアイデンティティは?」「転職したらどんな探究がしたい?」などと問いかけても、すらすらと答えてもらえることは稀でしょう。むしろ、採用面談の場を通じて本人のアイデンティティの言語化を促していくくらいのつもりで、粘り強く問いを投げかけていくしかありません。
このとき大切なのは、求職者を一方的にジャッジする側に立たないことです。自分たちがこれまで考えてきたこと、いま考えていることを対等に開示し、「お互いを理解していくための場」として面接をデザインするようにしましょう。
採用する側が審査の眼を強めすぎると、相手側にも「よく見られよう」とする意識が働き、互いに取り繕ったコミュニケーションに陥りかねません。
また、面接の場には、できるかぎり幅広いメンバーに同席してもらい、多様な視点から相互理解を深めることも重要です。人事担当者や経営層、マネジャー層だけでなく、所属候補先のリーダーやメンバーも採用面談に巻き込んで、求職者と同じ目線で対話に参加してもらうのです。
スペックよりも波長が合うかどうかが大事なので、経営・人事が「採用したい!」と思えるだけでなく、いま働いている人たちが「一緒に働きたい!」と思えなければ意味がありません。求職者にとっても、人事やマネジャー層と話すだけではなかなか見えてこない「現場の雰囲気」をつかめるというメリットがあります。