車泥棒の手口は高度に進化
ものの数分で愛車は去っていく

 窃盗犯に狙われているのは家だけではありません。あなたの車も狙われています。

 警察庁が発表した、2023年の都道府県別・車の盗難認知件数の総数は5762件。被害件数は前年度から28件増え、千葉県、愛知県、埼玉県、茨城県、神奈川県の上位5県で、被害全体の半分以上を占めています。

質問 あなたは、車泥棒はどうやって車を盗んでいると思いますか?

●運転席側の窓ガラスを割って
●運転席側のドアをこじ開けて……

 こんな乱暴な車泥棒は、いまや皆無。最近の車泥棒は、あたかも自分の車であるかのようにドアを開け、エンジンをかけ、持ち去ります。

 車泥棒の最新の手口は、「CANインベーダー」という、車に搭載されている通信システムに不正にアクセスして盗む方法です。

 どうして簡単に盗まれてしまうのかというと、最近の車はあらゆる機能がコンピュータによって制御されているからです。アクセスできれば、キーロックを解除するのも、エンジンを始動するのも簡単です。

 CANインベーダーによる盗難では、犯人はものの数分で車を持ち去ると言います。CANインベーダーがやっかいなのは、現状では不正アクセスを完璧に封じる手段がないことです(車メーカーは対策を講じていると思いますが)。

自動車盗の内訳(2023年/認知件数総数5762件)図は、同書より転載。左円グラフ内の「キーあり」は、キーがささっていたり、運転席まわりに放置されていたケースのことを指す。「キーなし」の状態で盗まれているケースの多さに注目してほしい 拡大画像表示
キーがなくてもらくらく持ち去る「CANインベーダー」の手口同書より転載 拡大画像表示