
NHK連続テレビ小説『虎に翼』で
脚本を手がけた吉田恵里香
横浜市港北区にある私立の6年制中高一貫校だ。校名に地名やナンバーが入らない日本大学の筆頭付属校で、男女共学だ。話題の卒業生を多数、送り出している。
昨年来、にわかに「時の人」になったのは、脚本家の吉田恵里香(1987年生まれ)だ。2024年度前期のNHK連続テレビ小説『虎に翼』で、脚本を手がけた。女性で初めて法曹の世界に飛び込んだ人物(三淵嘉子=東京女子高等師範学校附属高等女学校・現お茶の水女子大附属高校―明治大法学部卒)をモデルにしたドラマで、大きな反響を呼んだ。
漫画家か小説家になる夢を抱いて吉田は、中学受験の段階から日芸(日本大学芸術学部)文芸学科に将来、進学できる日本大学中・高校を選んだ。直木賞受賞作家の林真理子(山梨県立日川高校卒、現日大理事長)が文芸学科の大先輩だったことも意識していたようだ。
20代からテレビドラマ・映画の多くの作品で脚本を手がけ、NHK「よるドラ」枠にて放送された『恋せぬふたり』(22年1月~3月)で、第40回向田邦子賞を、最年少(当時)で受賞した。
吉田は「これまでも、『物言う可愛げのない人』を描いてきました」(24年9月12日、朝日新聞朝刊)という。『虎に翼』では、女性への差別や偏見と闘ってきた主人公の行動や、日本の法曹界の古色蒼然(そうぜん)ぶりを、オリジナルストーリーを駆使して徹底的に描いてきた。平日・朝の連続ドラマとしてはこれまでにない、生真面目で硬色の作品だった。テレビ番組としてその脚本を成し遂げた吉田の手腕・才覚が称賛されているのだ。
「放送界」で話題になっただけではない。折りあたかも24年には、日本弁護士連合会会長と検事総長に日本で初めて、女性が誕生した。偶然ではあったのだが、こうした事実と放送番組とがリンクして、「法曹界」にも大きなインパクトを与えたのだ。