住民税の誤解(1)
「年収の壁」問題で住民税も減税になる?
→今年、住民税の減税はない
昨年11月頃から与党と国民民主党でもめていた「年収103万円の壁問題」。すったもんだの協議の末、今年の税制改正で基礎控除と給与所得控除の拡大により、給与で働く人の課税最低ラインは年収160万円となった。つまり、減税だ。
住民税も減税になるの?と思うかもしれないが、基礎控除の拡大は所得税のみ。住民税は地方自治体首長の反対により、減税されないことになった。
給与所得控除の最低保証額は所得税、住民税ともに10万円拡大するが、対象となるのは給与年収190万円未満の人のみ。さらに住民税は1年遅れで適用になるため、年収190万円未満の人が減税を受けられるのは来年6月以降となる。
残念ながら、「年収の壁問題」において、今年の住民税は何の減税もないのだ。
住民税の誤解(2)
ふるさと納税はシミュレーターで寄付限度額を試算すれば間違いない
→年収から試算した限度額を目一杯使うと「やり過ぎ」で損することも
今年は、ふるさと納税のルール見直しが実施される。
総務省は、ふるさと納税ポータルサイトでのポイント付与を禁止すると発表。適用は2025年10月1日からなので、8月、9月はポイントがもらえるうちにと駆け込み寄付が急増すると予想される。
例年は12月が寄付のピークだ。12月であれば年収もほぼ確定し、その年ならではの控除も見えているので、ふるさと納税のポータルサイトなどにある「寄付額シミュレーション」を使って、控除限度額を試算するやり方で大きな問題はない。
ところが、8、9月では冬のボーナスの金額はまだわからないので、年収で試算すると正確な控除限度額と一致しない可能性が大きい。ボーナスを「いつもならこのくらい出ている」ともくろんで、目一杯寄付すると「寄付し過ぎで損」するかもしれない。
実際、2008年9月のリーマンショック発生後の冬のボーナスは、激減または10万円程度といった企業が少なくなかった。ボーナスとは大きく変動するものだということを忘れてはいけない。