一般的に定年を迎える直前の年の年収は高く、再雇用で働いたり、役職定年になったりすると給与は大幅にダウンする。前述のように住民税の課税タイミングは、半年遅れのため、高額な住民税が少なくなった給与から天引きされるのである。

 仮に定年前の年収が1000万円なら住民税は月5万円前後。再雇用後の月給が25万円だとすると(25万円くらいまで下がるケースは珍しくない)、そこから5万円を天引きされて、残りは20万円!さらに社会保険料や所得税も引かれる。振込額は、17万円前後だ。これは、つらい。

 こうした話をすると、相談者から「住民税は退職金で精算されるのでは?」と聞かれることもある。

 退職金を受け取って、その後再雇用で働かないケースだと、勤務先が残りの住民税(天引きするはずだった住民税の残り)を退職金で精算してくれるが、働き続けるなら「月給から天引き」が原則のようだ。

 こうした仕組みにより、59歳までの高かった年収にかかる住民税は、翌年の5月、退職月によっては翌々年の5月まで続くことを忘れないでおこう。

 3度目は、65歳でリタイアした後だ。

 年金生活に入ると、再雇用のときよりさらに収入はダウンする。64歳までの収入にかかる住民税を最後の給与で一括納税したり、自治体から送付される納付書で納税したりすることになる。

 60歳を過ぎてからの住民税には注意したい。

【訂正】記事の初出時より以下の通り訂正しました。
2ページ目5段落目 「年収の壁問題」において、 を追記
(2025年5月23日 10:10 ダイヤモンド・ライフ編集部)