情熱的なリーダーシップが生む
「誰かに話さずにはいられない」サービス

「誰かに話したくなる特別な体験を」<br />伝説のサービスを生んだ顧客第一主義伝説のレベルに至るまでのサービスの段階。本文ではそれぞれについて細かく言及されています。(本文28〜29ページ)
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 近年、米国人は商品の良し悪しだけで商品やサービスの購入先を決めることは少なくなっていると言われます。それより、楽しみながら買い物ができる環境があるかどうかがお客の側から見た価値なのです。お客が「あのお店はすごい」などと誰かに言わずにはいられないほどの経験をすること、それこそがサービスなのです。

 お客による口コミ情報はどんな広告や宣伝よりも重く、お客の「証言」に他なりません。そのような口コミで伝えられるサービスこそが「伝説のサービス」であり、たとえば父母が祖父母から聞き、祖父母は曾祖父母から教えられ、家族もそれらを伝え聞いて育つ、というように代を重ねるごとに説得力を持つようになる……。ベッツィはそう考えています。

 サービスが企業の根幹に根づいている企業とそうでない企業の最大の違いは、リーダーシップにあるのです。伝説のサービスを目指す旅の第一歩は、サービス向上の鍵を握るリーダーシップについて、自社がどのような姿勢を有しているかを分析することから始めるべきです。(40ページ)

本書の副題は「『顧客満足』はリーダーシップで決まる」となっていますが、それは裏を返せば、顧客の間で伝説として語り継がれるサービスは情熱的なリーダーシップからしか生まれない、ということなのです。そして優れたビジョンを提唱し、実践する誠実なリーダーの必要性を、ベッツィ自身の経験をもとに訴えています。

 サービスを伝説のレベルまで高められるかどうかは、全従業員に顧客に奉仕する上での自らの責任を、明確に理解させることができるかどうかにかかっているのです。
 顧客に直接応対している従業員にとっては、自らの責任を理解することは比較的容易でしょう。問題は、顧客に直接接していない人たちです。彼らにとって、他の従業員を顧客と考え奉仕することが自らの責任なのですが、これを理解させることは容易ではありません。(122ページ)