入る前から知り尽くすのは難しい
「3〜6カ月」が判断基準
入塾テストのフィードバックも塾を知る重要な手掛かりとなります。テスト結果をどのように伝えてくれるのか、どのような分析をしてくれるのか、そして今後の学習についてどのようなアドバイスをくれるのかは、その塾の指導方針や子どもへの接し方を知る上で貴重な情報です。
とはいえ、どんなに事前調査を重ねても、実際にしばらく通ってみなければわからないことが多いのが現実です。3カ月から半年程度の期間を「様子を見る期間」として設定しておくとよいでしょう。
なぜ3カ月という期間が目安になるのかというと、子どもが新しい環境に慣れ、先生やクラスメイトとの関係を構築し、塾の学習スタイルに適応するには、ある程度の時間が必要だからです。いきなり入塾して「合わない」と判断するのは早計で、一定期間は継続してみることが大切です。
まず、当然のことながら、お子さんが「ある程度楽しく通えているか」ということが第一です。毎週塾に行く前に子どもが行きたくないと泣きながら抵抗し、親子で戦争のようになっているようであれば、考え直したほうがよいでしょう。
ただ、現在の塾での改善策を探ることも大切です。多くの場合、簡単な工夫で状況が改善することもあるからです。例えば、復習の方法が間違っていただけかもしれませんし、クラスのレベルが合っていないだけかもしれません。保護者が遠慮して相談できていないケースや、校舎の雰囲気が合わないだけというケースもあります。
こうした問題は、塾の先生に率直に相談することで解決できることが少なくありません。例えば「ひとつ下のクラスに変えてみては」「別の校舎を試してみては」という提案をしてもらえることもあります。大手塾でも校舎によって雰囲気は大きく異なりますし、同じ教材でも先生の個性の違いによる指導方法が変われば理解度も変わってきます。
ただし、何度相談しても状況が改善されない場合や、根本的な指導方針の違いがある場合は、転塾を検討する時期かもしれません。その際も、塾側に問題があると決めつけるのではなく、「お子さんとの相性が合わなかった」と捉えることが大切です。
どの塾にも良いところはありますが、すべての子どもに合うわけではないのです。何事もうまくいかなければすぐに辞める、諦めるという習慣をつけることは避けたいものです。
転塾の決断は、塾のカリキュラムの区切りに合わせるべきだと考えている保護者も多いかもしれませんが、実はあまり考慮する必要はありません。子どもが嫌々通っているのでは、いくら授業に出ていても、本当の理解にはつながっていない可能性があるからです。
最終判断基準は「お子さんが楽しく通い、確実に力をつけているか」「保護者の経済的、エネルギー的な負担が許容できる範囲か」という2点に集約されます。この基準を満たしていれば、多少の不満や課題があっても継続する価値があるでしょう。満たしていなければ、別の選択肢を検討する時期かもしれません。