「東京都公式アプリ」は現在、ポイントアプリとして運用されている。具体的には、ボランティア活動への参加や、都政への協力に対してポイントを付与する。貯まったポイントは決済アプリや行政施設で利用できる。つまり「公共のために大切な時間を使ってくださった方に、ポイントで少しお返しする」という考え方に基づいている。

 2025年秋以降にはマイナンバーと連携し、1人1アプリを実現する予定だという。これにより都政への提案、給付金申請ができるようにするなど、さまざまな機能を順次追加していく計画だ。

行政サービスを「東京都公式アプリ」でひとつにつなげ、都や区市町村のさまざまなコンテンツのプラットフォームを目指す。行政サービスを「東京都公式アプリ」でひとつにつなげ、都や区市町村のさまざまなコンテンツのプラットフォームを目指す(提供:東京都)

ベンダー依存から脱却、内製開発に転換する理由

「東京都公式アプリ」でもう一つ注目すべきなのが、従来の調達方式からの脱却である。これまでの仕様書を作成してベンダーに発注する方式ではなく、内製開発を進める方針を明確に打ち出している。なぜ内製でなければならないのか。

「どんな機能が必要なのかは、ユーザーに聞きながらでないと分からない。市民の声を聞いてすぐに機能を開発したり、リリース後に『やっぱり使いづらい』と言われたら、サッと直せるようにしたいんです」(宮坂氏)

 内製開発へのシフトは、段階的に進めていく予定である。まずは企画・UI設計の内製化を完了させ、次にフロントエンド開発、その後バックエンド開発、最終的に継続的運用まで順次内製化していくという。

「現時点では、企画・UI設計の内製化まで進んでいます。これも以前は全部ベンダーさんにお願いしたんです」と宮坂氏。 Photo by M.S.「現時点では、企画・UI設計の内製化まで進んでいます。これも以前は全部ベンダーさんにお願いしたんです」と宮坂氏 Photo by M.S. 拡大画像表示

「東京都公式アプリは東京都が存続する限り動かしたい。100年間毎日運用して改善していけば、絶対いいものになる。この継続的運用、継続的改善を全て内製でやりたい。今まではベンダーと一緒に仕事をするのが得意な人を採用していたが、これからは自分たちで作っていく、自分たちで生み出していきたい」(宮坂氏)