
物言う株主として知られる香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントのセス・フィッシャー最高投資責任者が取材に応じ、株主提案を行っている太陽ホールディングスが「非常に深刻なガバナンス危機に直面している」と述べ、佐藤英志社長の再任反対や医療・医薬品事業からの撤退を強く求めた。また、トヨタ自動車と豊田自動織機の株主であると明かし、豊田自動織機のTOB(株式公開買い付け)価格が引き上げられなければ、反対キャンペーンを行う意向を表明した。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
過去最高益よりガバナンスを問う
太陽HD社長に突き付けた“解任宣告”
剛腕で知られる物言う株主が、半導体部材ソルダーレジストで世界首位を走る太陽ホールディングス(HD)に牙をむいた。佐藤英志社長の解任、そして医療・医薬品事業からの撤退――。まさに経営の根幹を揺るがす株主提案が、6月21日に株主総会を控える太陽HDに突き付けられている。
香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントが問題視するのは、(1)特定の議案を通すための意図的な株式希薄化だったと疑われる2017年の第三者割当増資、(2)佐藤社長に対する過大な報酬、(3)医療・医薬品事業への過剰な投資と失敗、(4)タイ現地法人の不祥事と不適切な対応――の4点だ。オアシスは公開キャンペーンなどを通じ、これらの点を厳しく追及している。
対する太陽HD側は「過去最高益」という実績を盾に反論するものの、事態は予期せぬ展開を見せる。かつて増資を引き受け、経営を支えたはずの筆頭株主、DICまでもが一転、佐藤社長の再任に「反旗」を翻したのだ。この異例の事態は、「実績か、ガバナンスか」という対立の構図を一層鮮明にしている。
好業績を誇る経営者を、なぜオアシスはここまで追い詰めるのか。包囲網の中心にいるセス・フィッシャー最高投資責任者が、一連の提案の真意を語った。