ランキングトップは三井物産
「経営者への提言」の特徴は?

 本ランキングのトップ3は、三井物産、フリー、出光興産だった。業種としては、総合商社、IT、建設、製薬、メーカー、アパレルなど幅広く、特定の分野に偏りは見られず、多様な企業がランクインしている。

 これらの企業に寄せられた投稿を確認すると、経営陣に対する厳しい意見も存在するが、それだけにとどまらず、改善に向けた具体的な提案や改革への期待が添えられている点が特徴的である。単なる批判ではなく、自社をより良くしたいという思いに基づいた建設的な声が多く見受けられる。

 では、実際のクチコミを見てみよう。

「人材が非常に重要な会社であるため、評価制度や優秀な人間を早く権限のあるポジションに置くことは重要だと考える。現在変革中の人事制度の中でそういった改革が今後施されることを希望する」(営業、三井物産)

「目標達成してから社員への還元や、今後組織はどのように変わるかに関しても、ちゃんと従業員とコミュニケーションをとっていければ、よりモチベーションが上がります」(ビジネス職、フリー)

「事業は人を育成する手段として人材の育成こそが事業そのものであるという考え方のもと社員の士気は高いと思う。国内の事業が縮小均衡ななかでいかにして新たな事業を創出していくかがポイントだと思う」(事務職、出光興産)

「とても良い経営をしている、社長はとても良い人。評価制度への不満は早めに何とかしないとやや心配」(WEB 本部、クイック)

「優秀な人材の確保が必要不可欠。新卒のベースアップは素晴らしい判断だと思うが、既存の社員の給与見直しをしなければある程度成長した社員の流出は止まらない」(プランナー、サイバーエージェント)

「人には恵まれ楽しくお仕事が出来ました。地方配属であっても、年齢を重ねたときでも、今後の仕事のやり方を選択できる仕組みがもっとあれば、ベテラン勢が辞めていくことも少なくなるかと思います」(販売員、アダストリア)

 社員が主体的に経営や組織に対して意見を投稿する背景には、企業への愛着や帰属意識、さらには感謝の念があると推察される。

 人的資本経営の重要性が増す現在、社員の声に真摯に耳を傾け、その意見を納得性のある人事制度や戦略に反映させていくことが、企業の競争力を高め、ステークホルダーからの信頼を獲得するうえでも重要であると言える。