待遇、改革、投資…
上位企業と下位企業の違い
OpenWorkに投稿された「経営者への提言」に関するクチコミをもとに、頻出単語を可視化する目的でワードクラウドを作成した。頻出回数が多い単語ほど、大きな文字で表現される仕組みである。
対象は東証プライム上場企業とし、OpenWork における総合評価スコアが上位のグループと下位のグループについて、それぞれワードクラウドを作成・比較した。その結果、社員が経営陣に対して抱く視点の違いが明らかになった。

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上位企業においては、「改革」「現場」「成長」「社内」といったキーワードが頻出している。これらの単語は、経営や組織のあり方に対して、社員が自社の将来的な発展を意識していることの表れである。
特に「改革」や「成長」といった未来志向の言葉は、変化の担い手としての自覚や期待を示しており、「現場」「社内」といった内省的な視点からは、組織改善への当事者意識もうかがえる。
一方、下位企業で多く登場したのは、「待遇」「給与」「給料」「意見」「離職」といった、個人の処遇や職場環境に関する直接的な訴えである。「待遇」や「給料」は生活に直結する切実な声であり、「離職」や「意見」からは、経営への不満や期待の低さが読み取れる。
社員が経営に対して建設的に意見を述べるというよりも、目の前の不満を訴えざるを得ない状態にあることがうかがえる。
また、両グループに共通して「投資」が登場している点も注目に値する。この語は東証スタンダード企業や東証グロース企業のワードクラウドでは見られないものであり、東証プライム企業の社員が、人的資本や働く環境への投資を企業の経営判断として求めている視点があることを示している。
経済産業省の定義によれば、「人的資本経営」とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上を目指す経営のあり方である。単に開示可能な情報を羅列するだけでなく、社員と真摯に向き合い、その能力を引き出すことが企業経営において一層求められている。