IT系ならばAI(人工知能)関連
「社外取」を狙う人へのおすすめも

 もし、IT系で資格を取得したいのならば、「AI(人工知能)関連」をおすすめします。

 三菱商事が、AI資格取得を管理職昇格の要件にしています。これは一般的な知識を幅広く問われるもので、理系やエンジニア以外の人でも合格しやすくなっています。

 例えばG検定のGはジェネラリストのGで、法律、契約、ガバナンスなどが中心となっています。認定AI・IOTコンサルタントは、数日間の研修を受講する必要がありますが、コンサルタントに転職する人には有効でしょう。

 さらに、厚労省推薦の「第四次産業革命スキル習得講座」があります。これは認定制度でAI、データサイエンス、プログラミング言語を学べる講座が多く、理系の人におすすめです。

 MBA(経営学修士)の2年間ほどのコースもそうですが、各団体、協会が実施しているマニアックで注目度が上がっている、比較的短期間の講座があります。

 他にも、特定非営利活動法人日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークでは、社外取締役向け、取締役会事務局向けのガバナンス知識の習得コースがあります。経営管理職経験者であれば、退職後に社外取締役などに就任する場合に履歴書に書けます。

 冒頭の田澤さんは、よく人の相談にのることが多いタイプだったので、カウンセラーや心理学などの講座が向いていました。心理学系でも修了証があれば、転職するときに役立つでしょう。

 田澤さんは1年間、無給休暇を取得して上記の講義を受講し、比較的簡単なメンタルヘルスのカウンセラーの資格を受験中です。合格していなくても「受講中」と履歴書に書いたことで、産業カウンセラーのアシスタントとしてIT企業に転職することができ、給与も2割アップしました。

「未経験の壁」を
どう乗り越えるか

 履歴書に書くのは経験したことのある内容がベースになるため、未経験者は採用されないのが現実です。

 しかし、実は転職先の業界を見据えて戦略的に資格取得や講座受講をしたりすることで、未経験のハードルを越えることはできるのです。

 実際、筆者がアドバイスした人の中には、履歴書に書くために資格を取得したり、講座を修了したり、転職希望の業界の学術学会や勉強会に積極的に参加したりして、転職に成功した人がいます。