
自動車部品メーカー世界最大手であるボッシュの日本法人が、エンジニアの新給与体系を導入した。新給与体系導入以降、エンジニアの中途採用における内定辞退は「ほぼなし」を達成しているという。連載『メーカーの採用力 待遇・人事の真実』の本稿では、ボッシュがエンジニア向けに変更した給与体系と、中途採用での効果を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
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電動化、SDV…業界でソフト人材争奪戦が激化
グローバル企業のボッシュが打ち出した秘策とは?
ボッシュが自動車業界におけるソフトウエア人材獲得競争で、一歩抜け出そうとしている。自動車部品メーカー世界最大手のボッシュの日本法人が、エンジニアに新給与体系を導入したのだ。
自動車業界では、電動化やSDV(Software Defined Vehicle、ソフトウエア定義のクルマ)の普及により、ソフトウエア人材の争奪戦が激化している。
例えば、マツダは、広島本社や、R&D拠点のある横浜市では十分にソフトウエア人材が獲得できないため、東京本社を都心の麻布台ヒルズに構えた(詳細は本連載の『マツダがソフト技術者獲得のため麻布台ヒルズに東京本社を移転!「広島や横浜だと応募者が少ない…」では、次なる“試金石”は?』参照)。
こうした動きがある中、ボッシュは、エンジニアに新給与体系を導入した。これはグローバルではなく、日本独自の取り組みだ。賃上げやベアなどで、全社員の給与水準自体を高める動きはあっても、エンジニアと非エンジニアで給与体系に差をつけることは珍しい。
ボッシュの人事部門関係者によれば、「新給与体系を導入して以降、(エンジニア中途採用の)内定辞退は、『とりあえず受けに来た』という層を除けば、ほぼない」という。採用したいと思う人材が入社するようになったという。
ボッシュはエンジニアの給与体系をどのように変えたのか――。
次ページ以降では、ボッシュがエンジニアに対して導入した新給与体系を解説するとともに、内定辞退がほぼなしとなった理由を明かす。
