
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、経営統合の最終合意を6月10日に発表した。新会社は、議決権比率と社長人事から、ダイムラートラックが主導するとみられ、トヨタ自動車は一定の距離を置く。本稿では、今回の資本の移動後、トヨタの商用車部門における「狙い」と新会社が待ち受ける「懸念」を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
商用車再編最終章、日野三菱ふそうvsいすゞ
統合新会社はダイムラー主導、距離置くトヨタ
商用車の業界再編が最終章に入った。
6月10日、日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、経営統合の最終合意を発表し、同日記者会見を行った。日野の認証不正問題などで統合が延期されていたが、対応にめどがつき、統合発表に至った。
統合新会社の新CEOには、三菱ふそうのカール・デッペンCEO(最高経営責任者)が就き、2026年4月に東証プライム市場への上場を目指す。国内商用車業界は、日野三菱ふそう連合といすゞ自動車グループの2陣営に集約された。
新会社の出資比率は、日野自動車の親会社であるトヨタ自動車と、三菱ふそうの親会社ダイムラートラックが25%ずつで、議決権ベースでは、トヨタが19.9%、ダイムラーが26.7%となる。トヨタは、既存の小型トラック事業があることを踏まえ、議決権ベースで持分法適用会社から外れる割合を選択した。
トップ人事と議決権ベースの持ち分を考慮すれば、新会社はダイムラー主導とみるのが妥当だ。
新会社から一定の距離を置いたトヨタだが、出資を続ける新会社からは何を得たいのか。次ページ以降では、本稿では、今回の資本の移動後、トヨタの商用車部門における「狙い」と新会社が待ち受ける「懸念」を関係者らへの取材を踏まえ、明らかにする。