3つの課題をクリアすれば
転職もうまくいく

●学習棄却の方法

 では、具体的にこれらの課題をどのようにクリアしていけばよいのでしょうか。

 まず学習棄却については、残念ながら「ミドルは、これこれの偏見を持ちやすいので気を付けて!」と教えるだけでは効果がありません。本人が心理学的な知見を持っていても、バイアスは低減しないことが分かっています。

 必要なのは、自分の中にあるバイアスを身をもって思い知らされる経験です。たとえば、あなたがミドル男性で、後輩の女子社員が運転する営業車に乗ったとき、悪気なく「女の子なのに縦列駐車を一回で決められるってすごいね」と言ったとしましょう。

 あるいは、あなたがミドルの女性で、お菓子が好きな男性社員を「男なのに甘いものが好きなんて珍しい」と思って「スイーツ男子」呼ばわりしたとしましょう。

 それについて、「偏見じゃないですか」などと指摘されたなら、それがバイアスに気づける瞬間なのです。そうした経験を得るには、他人からのフィードバックを受け入れる姿勢を持たなければなりません。

 しかし、年齢を重ねるにつれて、誰もフィードバックをしてくれなくなります。単に年上だからではなく、あなた自身がフィードバックしにくい態度を取っているからです。

 日常の会話で「それは結局、こういうことだから」と決めつけたり、「俺は知っている」といった発言を繰り返したりしていませんか? そうすると、下の世代から「この人には何を言っても無駄だな」「この人はもう変えられない」と思われてしまいます。

 そこで重要なのが、忌憚なくフィードバックしてもらえるような環境に身を置くことです。例えば、仕事以外の時間に同世代ではなく、自分と利害関係がない、いろんな世代の人がいる社外の課外活動やコミュニティに参加してみる。最初は居心地が悪いかもしれませんが、普段の部下からは絶対に言ってもらえないようなフィードバックを受けることができます。