ミドルが抱えがちな
仕事の3つの課題
本人の心がけ次第で、いくらでもポータブルスキルの習得ができる環境は整ってきています。問題は、多くのミドル世代がまだこの変化に気づいていない、あるいは気づいていても行動に移せていないことです。
では、実際にどう身につければよいのでしょうか。その前に、ミドル世代が抱えているキャリア課題を整理する必要があります。これには大きく分けて3つあります。
●第一の課題:学習棄却(アンラーニング)
難しそうに聞こえますが、何のことはない、これまでの経験で、身につけたことやうまく行っていたやり方を一旦リセットする、という意味です。ビジネスモデルが大きく変わり、昔稼げていたやり方に固執したり、過去の成功体験にしがみついたりしていては、過去と同じような成果は上げられなくなっています。
営業を例に取ると、昔は「足で稼ぐ」ことが重視されていましたが、今はデータ分析を活用して効率的に成果を出す時代になっています。残業規制もあり、時間をかければよいという話でもありません。
ところが、ミドル世代の多くはこれまで培ってきたキャリアや経験、成功体験をなかなか捨てられません。それで「俺の時はこうだった」という15年選手のベテランが、年下の上司の下で“お荷物”なミドルになってしまうのです。
特に重要なのが、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の排除です。経験値を積めば積むほど、人間は無意識のうちに、「男性はこう、女性はこう」「若い人はこう」などといったわずかな経験則や偏見、決めつけでものごとを判断するようになります。
しかし、働き方改革、女性やシニアの社会進出、外国人との協働、LGBTQ+の尊重など、組織の多様性が増している今、アンコンシャス・バイアスは大きな壁となります。
多様性の高いチームで働くためにはバイアスを取り除き、お互いの違いを理解し、その違いに配慮する必要があります。それができなければ、メンバーとうまくコミュニケーションが取れない人材として、結局「使えない人」ということになってしまうのです。