文系でも重宝される?
通信業界が求める人材像
3社とも、通信・IT業界特有の「総合職+技術職」の二本柱採用が見て取れる。
通信業界では、従来の通信インフラ事業に加えて、非通信分野への事業展開を強化しており、それに伴って採用活動も大きく変化している。
もともと携帯料金だけでは十分な収益が得られず、設備投資や維持費を賄うには限界がある中、大手各社は、金融・ポイント経済圏や地域創生、医療、スーパーアプリ構想など、異業種との連携を通じた新規事業に力を入れている。こうした背景から、通信業界の人材ニーズは広がりを見せ、IT人材の需要も高まっている。
通信業界では、ネットワークやサーバー関連の技術者に加え、アプリケーション開発やデータセンター運用など、あらゆるITスキルを有する人材が求められている。また、非通信領域でのビジネス展開を支えるため、課題発見力・解決力を持つ人材や、他業種とのエコシステムを構築できるような発想力・柔軟性・協調性の高い人材も重要視されるようになっている。
文系人材についても、カスタマーエクスペリエンス(CX)領域などで活躍の機会があり、特に大学時代にビジネスや起業経験があるような人材は評価されやすい。ビジネス感覚を持ち、組織の内外をつなげる視点を持った人材は、非通信領域の強化を図る通信企業にとって貴重な存在となっている。
一方で、通信業界はインフラを持つため固定費が高く、SIerやコンサル企業と比べると年収水準がやや抑えられる傾向にある。ただし、IT部門の内製化が進む中で、高度なITスキルや企画力・マネジメント力を備えた人材の市場価値は上がっており、給与水準の見直しや専門職採用の強化も見られる。
また、デジタル人材育成に関する政府の方針や経済産業省のレポートなどを背景に、事業会社がIT専門職を新卒から積極的に採用する動きが加速しており、通信業界とIT人材獲得において競合するようになっている。
今後は理系・文系問わず、IT素養や課題解決力、デジタル技術への関心と学習意欲を持った人材が、通信業界で活躍できる素地を持つと考えられる。
*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。