改善すべきポイントは?

 問題点も見受けられた。いかやほたてには、ゆず塩がかけてあるが、何も注意書きがなく不親切だ。気づかずに醤油をつけていたら、塩気が強くなりすぎて食べられたものではない。メニューにも記載がなく、食べる前にこちらが気づいてスタッフに確認した(しかも最初のスタッフは把握しておらず、他のスタッフが答える始末だった)。これは本来、外国語でも記載すべき内容のはずだ。

あれ、ビッくらポン!がない…「プレミアムくら寿司」と「いつものくら寿司」の圧倒的な違いほたてにはゆず塩がかかっているが、説明はなかった(筆者撮影)

 さらに、タブレットには「特製いなり」があったが、何が特製なのか説明がない。スタッフに確認したところ、金ゴマとしいたけが入っているとのことだった。写真だけでは中身がわからず、不親切な印象を受けた。

あれ、ビッくらポン!がない…「プレミアムくら寿司」と「いつものくら寿司」の圧倒的な違い特製いなりは何が入っているのか、説明が欲しいところだ(筆者撮影)

 水やお茶はセルフサービスで、給茶機に取りに行くシステムだ。通常店は座席でお茶を入れられるようになっているのに比べるとやや不便だが、これは高級すし店の雰囲気を目指しているのかもしれない。また、皿を5枚入れるとゲームに挑戦できる「ビッくらポン!」もなかった。これだけでも家族需要を狙っていないことがわかる。

あれ、ビッくらポン!がない…「プレミアムくら寿司」と「いつものくら寿司」の圧倒的な違い無添蔵の給茶機。お茶と水はセルフサービス(筆者撮影)

 わさびは個装ではなく、卓上調味料のねりわさびが常設されていた。別途、自分ですり下ろす「生本わさび」(280円)もメニューに用意されていたが、POPもなく、タブレットで気づかなければ注文されないだろう。

あれ、ビッくらポン!がない…「プレミアムくら寿司」と「いつものくら寿司」の圧倒的な違い練りわさびは卓上に常備されているが、本わさびも注文できる(筆者撮影)

 現在、くら寿司では、ガリ(生姜の薄切りを甘酢に漬けたもの)の代わりに大根の甘酢漬けを卓上に置いて提供しているが、同店にはなかった。一般のくら寿司と同様、生姜のガリは有料で注文するシステムだが、無添蔵のような高級店でガリが有料というのは疑問が残る。

 寿司の配置にも統一感がなかった。皿に「蔵」の文字が手前にくるよう配置されているものもあれば、そうでないものもある。アットランダムに寿司を置くのであれば、マークやロゴを入れるべきではない。ラーメン店で丼の12時の位置にロゴが入っていて、チャーシューやメンマが適当に配置されているものはないはずだ。

あれ、ビッくらポン!がない…「プレミアムくら寿司」と「いつものくら寿司」の圧倒的な違い「蔵」の文字が、寿司の上にある皿(左)とない皿(右)がある(筆者撮影)

 同店はプレミアムな高級店をうたっており、価格も高いのだから美味しいのは当たり前。その中で、より差別化戦略を図っている。高品質で希少なネタやアルコール類、飾り包丁など一手間かけて仕込んだ高級寿司を取り揃えているのが同店だ。しかし、それらのメッセージがお客に届いていない。

 サービス業の世界では、お客が疑問を持つ前にアピール内容をメニューやPOPでわかるようにしておくのが鉄則だ。改善すべきポイントは多い、と感じた。