strong euro:
強いユーロ

今年に入って独歩高の欧州単一通貨、「第二の基軸通貨」としての国際的地位が向上?

 外国為替市場で「強いユーロ(strong euro)」が鮮明になっている。「ユーロは米ドルに代わる基軸通貨になる」といった声も出るほどに。

 欧州連合(EU)加盟27カ国のうち20カ国が採用する単一通貨(single currency)のユーロ。今年に入って上昇基調を強め、8月中旬までに対ドルで13%高となっている。7月1日には1ユーロ=1.18ドルを付け、2021年9月以来の高値圏に突入した。

 対ドルだけではない。ユーロは日本円や英ポンド、カナダドル、韓国ウォンなどに対しても強くなっており、独歩高の状況だ。

 ロシアがウクライナに侵攻した22年と比べて様変わりだ。当時はエネルギーの供給不安や記録的なインフレを背景にユーロ安が進み、ほぼ20年ぶりに節目の1ユーロ=1ドルを割り込んだのである。

 欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は6月中旬にブログ記事を書き、「グローバル・ユーロ・モーメント(ユーロ国際化の好機)」と宣言した。

 We are witnessing a profound shift in the global order:Open markets and multilateral rules are fracturing, and even the dominant role of the US dollar,the cornerstone of the system, is no longer certain.(自由な市場や多国間のルールがないがしろにされ、国際秩序の大変革が起きている。金融システムの屋台骨である米ドルの覇権も揺らいでいる。)