vendor financing:
ベンダーファイナンス

人工知能(AI)バブルの懸念がにわかに台頭している。米半導体大手エヌビディアを軸に、リスクの高い「ベンダーファイナンス(vendor financing)」が相次いでいるためだ。
大きな注目を集めたのは9月下旬のベンダーファイナンスだ。生成AI「ChatGPT」で知られる米オープンAIがエヌビディアと提携し、最大1000億ドル(約15兆円)の資金支援を受けることで合意したのだ。巨大なデータセンターを建設するために。
データセンター建設にはエヌビディア製の最新鋭AIチップが欠かせない。当然ながらオープンAIはエヌビディアから大量のAIチップを購入する。エヌビディアから得る資金を使って。
何かおかしくないか?
エヌビディアからオープンAIへ資金が流れた後に、オープンAIからエヌビディアへ資金が戻る。これによってオープンAIは必要な資金を調達する一方で、エヌビディアは売り上げを大きく増やす。錬金術のように。
これこそ典型的ベンダーファイナンスだ。ベンダー(製品販売会社)が顧客に対しファイナンス(融資や出資)を実行し、製品の購入資金を提供する手法のことだ。当事者間で資金が循環しているだけなので「循環ファイナンス(circular financing)」とも呼ばれる。
エヌビディアにとってベンダーファイナンス相手はオープンAIにとどまらない。